私は見た、そして蒼白い馬が現れたではないか。その馬に乗っている者、その者の名前は「死」と言い、彼の後に黄泉の主が付き従っていた。
小河陽訳『ヨハネの黙示録』より
小売業はアメリカ経済全体としては成長していない。ということは、アマゾンが成長している分、どこかほかのところが衰退しているはずだ。
敗者が誰なのかと言えば、アマゾン以外のすべてである。下の図はアメリカの主な小売企業の10年間(2006年から2016年)の株式評価だが、これがすべてを物語っている。
Choudhury, Mawdud. “Brick & Mortar U.S. Retailer Market Value─2006 Vs Present Day.” ExecTech.
過剰な店舗数、一律の賃金、好みの変化、そしてアマゾンが小売業に最悪な事態をもたらした。いまやほとんどの小売企業がめちゃめちゃな状態だ。ただし「ほとんど」であり、「すべて」ではない。
アマゾンは小売りのサタンとなり、同じセクターの他の企業と業績が反比例するという、他に類を見ない立場にある。一般的に、同じセクターの企業の株式は同じ方向へと変化する。互いに同調するのだ。
しかしそれが変わってしまった。いま株式市場はこう見ている。アマゾンにとってよいことは小売業にとって悪いことであり、逆もまた真であると。ビジネス史上このようなことはかつてなかった。