その上にまたがった騎士は弓を持っていた。そして彼に冠が与えられ、彼は勝利しつつ、なおも勝利を重ねるために、出て行った。
小河陽訳『ヨハネの黙示録』より
アップルは世界一革新的な企業と考えられている。アマゾンは最も評判のよい(どういう意味であれ)企業。フェイスブックはいちばん働きやすい企業だ。しかし私たちがグーグルに置く信頼には並ぶものがない。
グーグルが現代の神と呼ばれる理由の1つは、グーグルが私たちの心の奥底にある秘密を知っているからだ。グーグルは透視能力を持ち、私たちの思考と意図の記録をつける。質問することによって私たちはグーグルに、司祭やラビ、母親、親友、医師にさえ話さないことを告白する。
昔のガールフレンドをネットストーキングする。なぜばかなことをするのか考える。不健全なフェティシズム(たとえば足だけに執着する)を持っているか調べる。何であれ私たちはグーグルに打ち明ける。その頻度でそのレベルの質問をされたら、どれほど理解のある友人であろうと引いてしまうだろう。
私たちはこのメカニズムに絶大な信頼を寄せている。グーグルへの質問の6つに1つは、これまで質問されたことのないものだ。他の機関──専門家や聖職者──で、人々にこれほど信頼され、質問を投げかけられるものが他にあるだろうか。これだけ多くの斬新な質問をしたくなるような明晰な指導者がいるだろうか。
Clark, Jack. “Google Turning Its Lucrative Web Search Over to AI Machines.” Bloomberg. October 26, 2015.
グーグルは検索結果について、どれがオーガニック(広告の影響を受けない)でどれが広告かを明確に示すことで、神に近い姿を維持している。広告とは切り離されているように見えるために、オーガニック検索の信頼が増幅しているのだ。その結果、グーグルの聖典──検索結果──は、多くの人にとって、これ以上ないほど正確なものになった。
グーグルは2つのやり方を採用している。オーガニック検索は中立性を維持し、有料コンテンツでは広告料を取れるようにした。これで文句を言う人は誰もいない。