週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2020年4月25日号
2020年4月20日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】コロナ大恐慌

「2020年の世界経済が大幅なマイナス成長に陥ることは明白だ。経済への影響は(1929年に始まった)世界大恐慌以来最悪になると予測している」

4月初旬、IMF(国際通貨基金)のゲオルギエバ専務理事は、新型コロナウイルスの感染拡大によって生じた現在の経済危機についてこのように指摘しました。

1929~1933年の大恐慌を経て米国は実質GDP(国内総生産)が約3割縮小し、失業率は25%に達しました。今世界は、この大恐慌と比較されるような経済危機に直面しているのです。

この未曾有の危機を日本経済、そして日本の企業は乗り切ることができるのか。今号の特集では、資金繰り問題、雇用問題に焦点を当て、観光業、小売業、自動車、電機など幅広い業種の苦悩を総点検します。
 

【巻頭リポート】米国を待つ長き悪路 景気のV字回復は困難


米国の新型コロナウイルスによる死者数は、イタリアを抜いて世界最多になりました。失業者も急増、未曽有の経済危機に突入しつつあります。治療法確立までは停滞が続き、V字回復というより、波乱含みのL字回復といった様相になりそうです。

担当記者より

今回の特集にあたり、複数の調査会社に取材しました。ある調査会社に出向いたところ、その会社の幹部は「新型コロナが騒がれ出した2月から2ヶ月ほどしか経っていない時期に、倒産企業が急増した。私の想定よりも早く、存続をあきらめている印象がある」と切り出しました。そして、「今日の12時の時点で、コロナ関連倒産は30件で・・・」と話し始めたところ──。

「速報です」と、別の社員の方が取材部屋に入ってきました。また関連倒産が、一気に3件増えたというのです。矢継ぎ早に倒産が増えていることを、このとき実感しました。

新型コロナウイルスの脅威は、多くの産業を飲み込もうとしています。特に零細・中小企業が多く、十分な手元資金を持っていない日本の観光や飲食関連企業が、次々と資金ショートを起こしています。

そもそも中小企業は、人手不足を背景とする人件費高騰が経営を圧迫していました。そこに2019年秋の消費増税が逆風となって吹き付けました。業績が悪化していたところに、今年に入って新型コロナが襲いかかり、とどめを刺した形となりました。

今後は倒産がいったんおさまる可能性があります。4月に入り金融庁は、新型コロナの緊急経済対策を踏まえた資金繰り支援を金融機関に要請しました。「はっきり言って、むちゃくちゃ。お金がないところには、形だけの審査で貸し出す姿勢」と、あきれ顔のアナリストもいるほど。

一方で、「そうは言っても、やはり金融機関側は融資の際にはそれなりの審査が必要。企業が本当に必要なタイミングで融資を受けられるかどうかはわからない」との見方もあります。観光や飲食関連企業はすそ野が広く、従事している従業員も多いため、動向には注視が必要です。

さらに、状況は深刻です。特集の校了を終えた16日、政府は緊急事態宣言の対象を全国に拡大しました。これまで対象だった1都府県で店舗を休業していた小売業も、その対象を全国の店舗に広げなければいけません。

GMS(総合小売店)最大手のイオンは金融機関からの借入枠が1.2兆円ほどあるようです。百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングも取引銀行に対して、800億円規模の融資枠設定を要請したもよう。このような大手小売りでさえ、手元資金を厚く確保することを迫られています。

ましてや零細・中小の小売りとなると、コロナ影響が長期化すれば、資金繰りが続かなくなる懸念があります。特に、EC(ネット通販)や郊外型ショッピングセンターに顧客を奪われている地場資本の百貨店は、雪崩おちるかのように倒産する事態が起きる可能性もあるでしょう。

今回の特集では、どのような産業に危機が迫っているのか、リーマンショックや東日本大震災といった過去の危機時とはどのような違いがあるのかなど、倒産のリアルをレポートしています。また、資金繰りが危ない「要注意企業ランキング」も充実。観光客が一瞬にして「蒸発」したホテル、旅館、エアライン、バスといった企業の悲鳴と今後の対策についても取り上げています。東洋経済の記者のパワーを結集した「コロナ大恐慌」特集、ぜひお手にとってご覧ください。

担当記者:梅咲 恵司(うめさき けいじ)
東洋経済記者。百貨店、スーパーなどの業界を担当。過去に自動車、精密機械、不動産業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
コロナ大恐慌 日本経済はどこまで沈むか

新型コロナが日本経済を直撃

Part1 企業淘汰の嵐
中小企業に迫る倒産の足音 悲鳴!資金繰りが危ない
資金繰り「要注意企業」ランキング
期待高まる金融機関の“支援力”  銀行はどこまで頼れるか
困っている人のためのQ&A 資金繰りマニュアル

Part2 瀕死のサービス業
ホテル・旅館・旅行会社の悲鳴 そして観光客は蒸発した
長引く「休園」、その後に何が起きるのか 明暗くっきり!テーマパーク
ワイキキビーチから人影が消えた 渡航制限で苦しむハワイ
星野リゾート 「コロナ後をにらみ 先手を打っていく」 星野リゾート代表 星野佳路
アパホテル 「厳しい時期こそ M&Aのチャンスだ」 アパホテル社長 元谷芙美子
エアライン・鉄道・バス・タクシー… 出口が見えない交通機関
消費増税に暖冬、そしてコロナが直撃 百貨店・アパレルの惨状
コロナショックがダメ押しに いきなり!外食大手の断末魔
今こそ「マーケティング」を強化せよ コロナ後の価値観は激変する

Part3 土壇場の製造業
世界各地で新車需要吹き飛ぶ 自動車「赤字続出」の衝撃
自動車産業を支える中小企業の戦い 下請けは塗炭の苦しみ
「派遣切り」「雇い止め」の実態 またもや切られる外国人労働者
車載向け電子部品が絶望的 電機・機械を襲う危機連鎖
「世界不況は長期化する 経営者の覚悟が必要だ」 経団連会長 中西宏明

巻頭リポート
景気のV字回復は困難 米国を待つ長き悪路
緊張感に満ちた米国の自宅待機 「死のリスク」はすぐそこにある

ニュース最前線
オンライン診療「初診解禁」 現場で交錯する期待と不安
膨らむ賃料減額の要請 不動産業界に募る不安
原油急落で異例の減産合意 ロシアの翻意に米国の影


連載
経済を見る眼|コロナ禍が求める国際協調|早川英男
ニュースの核心|「緊急事態宣言」機に、一人ひとりが対策の徹底を|岡田広行
『会社四季報』ルーキー登場|コーユーレンティア
トップに直撃|「消費は弱含む。定番商品をより強化する」 良品計画社長 松﨑 曉
フォーカス政治|緊急事態宣言の会見で憂う 日本のリーダーの政治姿勢|牧原 出
グローバル・アイ|仮想通貨はコロナ後に花開く|ブライアン・アームストロング
INSIDE USA|深刻化する新型コロナ問題 危機に瀕する米政治の基盤|安井明彦
中国動態|武漢の封鎖解除した中国 新型コロナ対策に難題2つ|富坂 聰
財新|海外向けスマホ拡大でシャオミ復調新興カフェのラッキンで不正会計発覚
マネー潮流|危機の主役は銀行からノンバンクへ|木内登英
少数異見|買いだめする消費者は愚かではない
知の技法 出世の作法|緊急事態宣言で強まる三権での行政権の優位|佐藤 優
経済学者が読み解く現代社会のリアル|経済危機へマクロ対策 緊急コロナ債の発行を|吉野直行/宮本弘曉
人が集まる街 逃げる街|会津若松市|牧野知弘
クラシック音楽最新事情|自宅でフェスを! バーチャルLFJ|田中 泰
話題の本|『フテンマ戦記』の著者 小川和久に聞く ほか
「英語雑談力」入門|weather the storm|柴田真一
ゴルフざんまい|ストロークプレーの呪縛からの解放を|三田村昌鳳
経済クロスワード|コロナ危機
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