週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2026年4月4日号
2026年3月30日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】責任ある積極財政は日本経済を、強く豊かにするのか。


女性初の首相に就任した高市早苗氏。経済・財政政策では「緊縮志向から成長投資への転換」を掲げますが、財政悪化の懸念から金利上昇と円安が進みました。本当に日本の経済を強くし、日本人を豊かにするのでしょうか。特集「責任ある積極財政は日本経済を、強く豊かにするのか。」の中で徹底検証します。深層リポートは「バイオマス発電の現実」、産業リポートは「JTの逆襲シナリオ」です。さらに、スペシャルインタビューは「推し活」に傾倒する川邊健太郎LINEヤフー会長の一問一答をお送りいたします。
 
 

担当記者より

特集「『責任ある積極財政』は日本経済を、強く豊かにするのか。」を担当した黒崎亜弓です。

30文字と異例の長さで、しかも最後に「。」がついた特集タイトルは、2月の衆議院選挙の際の自民党のキャッチフレーズ「日本列島を、強く豊かに。」をもじってみました。

昨年秋に高市早苗政権が誕生して以来、財政がクローズアップされています。株式市場も、為替・債券市場も大きく動きました。さらに年明けには解散総選挙が急浮上。解散から戦後最短で迎えた大雪の投開票日に自民党が圧勝しました。

高市首相は、選挙で掲げた「責任ある積極財政」が支持されたと述べました。正直に申し上げると、呆気にとられているうちに選挙が終わってしまった感がありました。

ベストなのは、選挙の判断に資するよう特集を作ることでしょう。でも、政策論議が本格化するタイミングで、その中身と背景を掘り下げることは経済誌の1つの役割ではないかと思いました。

特集を作っている間、PC画面に北穂高岳の大キレットの写真を置いていました。切り立った尾根道は国内最難関の登山ルートだそうです。財政規律派と積極財政派は、とかく対立が強調されがちですが、どちらが正しいかというより、どちらに行きすぎても崖を転げ落ちてしまう隘路(あいろ)のイメージが浮かんだのです。

財政規律を保たなければ政府は生きてゆけない。なすべき支出をなさなければ政府である資格がない。

こちらはチャンドラーの一節をもじってみました。

今回の特集が、議論を深めるうえで材料になれば幸いです。

担当記者:黒崎 亜弓(くろさき あゆみ)
東洋経済記者。特に関心のあるテーマは分配と再分配、貨幣、経済史。趣味は鉄道に揺られる旅、本屋や図書館で本棚を眺めること。1978年生まれ。共同通信記者(福岡・佐賀・徳島)、『週刊エコノミスト』編集者、フリーランスを経て2023年に現職。静岡のお茶屋の娘なのに最近はコーヒーばかり。

 

目次

特集
責任ある積極財政は日本経済を、強く豊かにするのか。
「金利上昇」と「円安の加速」を招く 高市「責任ある積極財政」の主眼はどこに
[インタビュー]20年ぶりの再論戦 成長で財政健全化できるか
 竹中平蔵 元総務相 慶応大学名誉教授 vs. 吉川 洋 元経済財政諮問会議議員 東京大学名誉教授

PART1
財政はどう変わる?

【成長投資】戦略17分野「官民連携投資」 補助金漬けを避けるには
【防衛費】GDP比2%は上振れ必至 輸出解禁で防衛産業は復活?
【給付付き税額控除】再分配の切り札、挫折の20年
【外為特会】円安含み益は使えるか
【世界の財政】欧米は日本の債務膨張に追随 フロントランナー日本の選択

PART2
国債・金利はどう変わる?

[対談]ショック機に国債市場改革 今こそ個人向け国債商品
 齋藤通雄
元財務省理財局長、野村資本市場研究所研究理事
 平山賢一 麗澤大学教授、東京海上アセットマネジメントチーフストラテジスト
債券市場は6月に正念場 「市場との対話」安定化を
「金利ある世界」の復活で銀行は国債を買いづらくなる
[ストラテジストアンケート]債券の専門家6人が大予測 長期金利は年末1.7~2.55%
「成長か破綻か」ではない 高市財政で進む深刻事態

深層リポート
バイオマス発電の現実 持続可能と言えるのか

産業リポート
最年少社長が挑む紙巻き依存脱却策
JTの逆襲シナリオ
[インタビュー]JT社長 筒井岳彦
 「シェアは十分に巻き返せる カギを握るのはイノベーションだ」

スペシャルインタビュー
「ハロプロ推し」で深まった エンタメビジネスとAI時代への理解
LINEヤフー会長 川邊健太郎

15年越し「推し愛」に応えた元ハロプロ「メロン記念日」

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