特集「『責任ある積極財政』は日本経済を、強く豊かにするのか。」を担当した黒崎亜弓です。
30文字と異例の長さで、しかも最後に「。」がついた特集タイトルは、2月の衆議院選挙の際の自民党のキャッチフレーズ「日本列島を、強く豊かに。」をもじってみました。
昨年秋に高市早苗政権が誕生して以来、財政がクローズアップされています。株式市場も、為替・債券市場も大きく動きました。さらに年明けには解散総選挙が急浮上。解散から戦後最短で迎えた大雪の投開票日に自民党が圧勝しました。
高市首相は、選挙で掲げた「責任ある積極財政」が支持されたと述べました。正直に申し上げると、呆気にとられているうちに選挙が終わってしまった感がありました。
ベストなのは、選挙の判断に資するよう特集を作ることでしょう。でも、政策論議が本格化するタイミングで、その中身と背景を掘り下げることは経済誌の1つの役割ではないかと思いました。
特集を作っている間、PC画面に北穂高岳の大キレットの写真を置いていました。切り立った尾根道は国内最難関の登山ルートだそうです。財政規律派と積極財政派は、とかく対立が強調されがちですが、どちらが正しいかというより、どちらに行きすぎても崖を転げ落ちてしまう隘路(あいろ)のイメージが浮かんだのです。
財政規律を保たなければ政府は生きてゆけない。なすべき支出をなさなければ政府である資格がない。
こちらはチャンドラーの一節をもじってみました。
今回の特集が、議論を深めるうえで材料になれば幸いです。
担当記者:黒崎 亜弓(くろさき あゆみ)
東洋経済記者。特に関心のあるテーマは分配と再分配、貨幣、経済史。趣味は鉄道に揺られる旅、本屋や図書館で本棚を眺めること。1978年生まれ。共同通信記者(福岡・佐賀・徳島)、『週刊エコノミスト』編集者、フリーランスを経て2023年に現職。静岡のお茶屋の娘なのに最近はコーヒーばかり。

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