特集「ハイテク中国」を担当した野中大樹です。
昨年秋、高市早苗首相が国会で「台湾有事は存立危機事態になりうる」と発言して以降、日本と中国の政治対立が先鋭化しています。中国政府は中国人の日本への渡航を制限し、中国国内では、日本製映画の上映や日本人アーティストの公演が相次いで中止になりました。
そんな物々しい情勢下だったので、以下のアンケート調査結果には驚きました。中国に進出する日系企業の景況や事業環境に関するヒアリングを実施してきた中国日本商会は、2月、最新の調査結果を公表しました(調査は2026年1月8~23日、中国全土1427社が回答)。それによると、26年の中国投資について「増加又は維持」と回答した企業が59%に達したのです。
日系企業が中国市場にとどまるのはなぜか。取材では、2つの理由が見えてきました。
1つは市場の拡大です。爆発的な成長期は過ぎた中国ですが、それでも成長は続いており、市場は膨らんでいます。日系企業にとって、拡大する市場に背を向ける理由はありません。
もう1つが、ハイテク産業の社会実装のスピードです。中国では、AI、ヒューマノイド(人型ロボット)、EV(電気自動車)、産業用ロボット、FA(ファクトリーオートメーション)、医療機器など、あらゆる産業分野でハイテク化が進んでいます。それも、そのスピードが速い。なぜなら中国政府が実証実験へのハードルを下げているためです。中国は「社会実装の実験場」として“使える”わけです。世界トップクラスのメーカーが中国で開発競争を繰り広げる理由は、ここにあります。
拡大する市場と実証実験のしやすさ。この2点は日系企業にとっても魅力。ここでイノベーションを起こして、世界市場で勝負に出る。こういう発想ができるわけです。
日本では「脱中国」が叫ばれます。サプライチェーンを強靭化することは重要ですが、留意しなければならないのは、サプライチェーンの強靭化が必ずしも世界市場における日本企業の競争力向上につながるわけではないことです。世界市場で勝つには、イノベーションを重ね、最先端の技術をもって勝負していかなくてはなりません。「脱中国」は、日本企業の競争力を向上させるでしょうか。
特集では、ハイテク中国の現実を捉え、日本企業の勝ち筋はどこにあるのかを探りました。
担当記者:野中 大樹(のなか だいき)
東洋経済記者。熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年、東洋経済新報社に入社。現在は統合編集部。

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| 32-33ページ | ■ハイテク中国を使い倒し 世界市場で勝つ 32ページの3段目から33ページの1段目にかけて: ①だが、(ダイキンは)販売ルートがなかった。 ②格力は、販売ルートの提供と引き換えにインバーター技術の供与を求めた。 ③ダイキンは格力の販売網を使ってルームエアコン市場に参入。 ①~③の文章を削除します。 井上礼之氏の肩書は、社長でなく会長に訂正します。 ルームエアコンは住宅用エアコンに訂正します。 |