週刊東洋経済

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担当記者より
2026年4月18日・25日合併号最新号
2026年4月13日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】ハイテク中国


中国のハイテク化が驚くべきスピードで進んでいます。AI、人型ロボット、自動車はもちろん、日本企業が強かった半導体製造装置、産業用ロボット、医療機器などの分野でも中国企業が台頭し、逆転するケースも出ています。日本勢は反転攻勢をかけられるのでしょうか。現状と、日本企業の勝ち筋を探ります。AIや人型サービスロボットなどのハイテク中国の最前線から、半導体の「国産化」など中国企業の挑戦、FAやEV、AIエージェントなどで日本企業が善戦できる可能性などをリポートしていきます。
 

担当記者より

特集「ハイテク中国」を担当した野中大樹です。

昨年秋、高市早苗首相が国会で「台湾有事は存立危機事態になりうる」と発言して以降、日本と中国の政治対立が先鋭化しています。中国政府は中国人の日本への渡航を制限し、中国国内では、日本製映画の上映や日本人アーティストの公演が相次いで中止になりました。

そんな物々しい情勢下だったので、以下のアンケート調査結果には驚きました。中国に進出する日系企業の景況や事業環境に関するヒアリングを実施してきた中国日本商会は、2月、最新の調査結果を公表しました(調査は2026年1月8~23日、中国全土1427社が回答)。それによると、26年の中国投資について「増加又は維持」と回答した企業が59%に達したのです。

日系企業が中国市場にとどまるのはなぜか。取材では、2つの理由が見えてきました。

1つは市場の拡大です。爆発的な成長期は過ぎた中国ですが、それでも成長は続いており、市場は膨らんでいます。日系企業にとって、拡大する市場に背を向ける理由はありません。

もう1つが、ハイテク産業の社会実装のスピードです。中国では、AI、ヒューマノイド(人型ロボット)、EV(電気自動車)、産業用ロボット、FA(ファクトリーオートメーション)、医療機器など、あらゆる産業分野でハイテク化が進んでいます。それも、そのスピードが速い。なぜなら中国政府が実証実験へのハードルを下げているためです。中国は「社会実装の実験場」として“使える”わけです。世界トップクラスのメーカーが中国で開発競争を繰り広げる理由は、ここにあります。

拡大する市場と実証実験のしやすさ。この2点は日系企業にとっても魅力。ここでイノベーションを起こして、世界市場で勝負に出る。こういう発想ができるわけです。

日本では「脱中国」が叫ばれます。サプライチェーンを強靭化することは重要ですが、留意しなければならないのは、サプライチェーンの強靭化が必ずしも世界市場における日本企業の競争力向上につながるわけではないことです。世界市場で勝つには、イノベーションを重ね、最先端の技術をもって勝負していかなくてはなりません。「脱中国」は、日本企業の競争力を向上させるでしょうか。

特集では、ハイテク中国の現実を捉え、日本企業の勝ち筋はどこにあるのかを探りました。

担当記者:野中 大樹(のなか だいき)
東洋経済記者。熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年、東洋経済新報社に入社。現在は統合編集部。

 

目次

特集
ハイテク中国
日本企業の勝ち筋を探せ
先端を走る日本企業は中国投資を継続 ハイテク中国を使い倒し世界市場で勝つ

第1章
ハイテク中国最前線

【ヒューマノイド】世界標準を狙うユニツリー プラットフォーム戦略の全貌
【中国AI最前線】AIブームで大衆も熱狂 縮まるアメリカとの技術差
【人型サービスロボット】AIと融合し社会実装が進展 中国が最先端の実験場に

第2章
中国の飽くなき挑戦
【半導体】急速に進む中国半導体「国産化」の全貌
【FA(ファクトリーオートメーション)】源流は「ファーウェイ19人の精鋭」 産業ロボの昇龍イノバンスの正体
【外骨格ロボット(パワードスーツ)】「人間の新しい器官」を目指す 急成長ロボベンチャーの革新力
[インタビュー 中国とどう向き合う?「脱中国は衰退の受け入れ。中国から逃げるな」
 経営コンサルタント ビジネス・ブレークスルー大学学長 大前研一

第3章
日本企業の勝ち筋
【半導体露光装置】最先端の製造工程が日中の激戦領域に
【FA(ファクトリーオートメーション)】中国勢に日系のFA業界が反転攻勢
【小型自動旋盤(工作機械)】ツガミ「中国全振り」で快進撃
【EV(電気自動車)】苦境の日系、現地化で生き残り
【AIエージェント】中国製ロボに日本の知能を搭載
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