特集「すごい中堅企業100 2026年版」を担当した木皮透庸です。
国内の設備投資や賃上げを牽引する存在として、「中堅企業」が存在感を高めています。中堅企業とは、単体の従業員が2000人以下で中小企業を除く企業を指します。本特集では、日本に約9000社あるとされるその実像を立体的に描きました。独自の技術やビジネスモデルなどで秀でる100社を選定し、うち15社は個別取材で「すごさ」に迫っています。
取材で見えてきたのは、各社が置かれた環境の中で独自の戦い方を磨き込んでいることです。北海道が地盤のコンビニ「セイコーマート」を展開するセコマは、店舗間距離が長く物流のハードルが高い地域特性を逆手に取り、自前の物流網や約900品目に及ぶPB(プライベートブランド)で独自の運営体制を構築。創意工夫によって収益性を高めています。
一方、電気計測器メーカーのHIOKI(長野県)は顧客ニーズに徹底的に寄り添った製品開発で高い収益力を実現し、平均年収1000万円超を達成。長野県の上場企業の中でもトップ水準です。湖北工業(滋賀県)はアルミ電解コンデンサ用リード端子や海底ケーブル用光部品といったニッチ分野で高い世界シェアを握り、営業利益率26%という高収益を確保しています。両社に共通するのは、強みを起点に付加価値を積み上げる経営です。
海外に打って出る企業も目立ちます。太陽工業(大阪市)は「東京ドーム」に代表される膜構造物で世界トップクラスのシェアを誇り、世界7大陸に事業を広げています。純米大吟醸に特化する山口県の日本酒メーカー「獺祭」は、アメリカ・ニューヨークに蔵を設け「DASSAI BLUE」を展開。足元の売上高200億円規模から将来の1000億円を見据え、海外展開を加速中です。
さらに本特集では、中堅企業を支えるエコシステムとして、広島銀行や八十二長野銀行といった地域金融機関による伴走支援に加え、コンサルティング会社の取り組みを俯瞰しました。売上高増加率や1人当たり売上高、売上高純利益率、初任給といったランキングも交え、中堅企業の「群」としての実力も可視化しています。産官学のキーパーソンによるインタビューも読み応え十分です。
中堅企業はもはや中小企業と大企業の中間ではなく、日本経済の成長エンジンそのものです。超高圧水切断など独自技術を持つスギノマシンの杉野岳社長は、「短期的な効率より長期の価値創出を」と語ります。本特集で描いた企業群に共通するのも、まさにその姿勢です。その強さの源泉を、ぜひご覧ください。
担当記者:木皮透庸(きがわ・ゆきのぶ)
1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車、物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュース取材や特集制作を担当。2024年7月より週刊東洋経済副編集長。

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| 77ページと78ページ | ■伸び盛り中堅企業ランキング200 売上高増加率ランキングにおいて、注記に「東京都と大阪府の企業を除外」を追記します。 売上高純利益率ランキングにおいて、注記に「東京都と大阪府の企業を除外」を追記します。 |