週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2026年10月3日号
2026年9月28日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】製薬 逆風下の勝ち筋

かつて日本は世界の新薬の3割を開発する「創薬大国」でしたが、近年は1割程度の創出にとどまっています。創薬力に陰りが出てきたところに、2つの逆風が吹きつけています。1つは、アメリカのトランプ大統領が推進する「薬価の最恵国待遇」。そしてもう1つが中国の台頭です。こうした状況で、どう勝ち筋を見つけることができるか? 第一三共、武田薬品、小野薬品、大塚ホールディングスなど国内製薬企業の今後や海外勢の動きを追っていきます。
 

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担当記者より

特集「製薬 逆風下の勝ち筋」を担当した印南です。

日本の製薬業界は今、「MFN」の話題でもちきりです。

MFNとは、米トランプ政権が推進する最恵国待遇(Most Favored Nation)のことで、MFN薬価政策は、日本を含む先進諸国の安い薬価を参照し、アメリカでの処方薬の価格を引き下げることを目的としています。法制化はまだですが、政権と製薬企業との個別ディールを通じて、日本のアステラス製薬や協和キリンを含む計26社がすでに合意をしています。

着々と前進するMFNですが、その「全貌」は不透明です。上記の国内2社に合意内容を尋ねても「リリース以上のことは話せない」の一点張り。その一方、製薬業界は「日本の低い薬価が参照されて、アメリカでの業績が悪化する。それを避けるため、外資系の製薬大手が日本での新薬発売を見送り、『ドラッグロス』が拡大するだろう」と主張しています。こうした懸念は、はたして現実のものとなるのか。第1章では、MFNの実態に加えて日本市場への影響を検証しました。

MFNによる影響は不透明ながら、日本の医薬品市場「外資依存」がリスクであることは事実です。かつて世界の新薬の約3割を作っていた「創薬大国・日本」ですが、今や1割未満まで低下。近年では、中国が猛烈に追い上げています。結果、国内で販売される新薬の多くを外資系が供給しており、それが滞れば国民の健康が損なわれかねません。

そこで第2章では武田薬品工業、第一三共、大塚ホールディングスといった日本の製薬企業を「創薬力」をテーマに掘り下げました。さらに第3章では、国民の医療に必須である抗菌薬のサプライチェーンの「チャイナ・リスク」回避に向けて進められる、ペニシリン原薬の国産化プロジェクトをルポしています。

いくつもの逆風が吹く日本の製薬業界に「勝ち筋」はあるのか。その一端を考えるきっかけとなる構成になっています。ぜひ、ご一読ください。

担当記者:印南 志帆(いんなみ しほ)
早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

 

週刊東洋経済とは

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『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
製薬 逆風下の勝ち筋

第1章
日本への大逆風
稼ぎ頭のアメリカ市場で波乱 トランプ薬価引き下げショック
[インタビュー]「イノベーションが評価される薬価制度を望む」
 
ノバルティス日本法人 社長 ジョンポール・プリシーノ
抗がん薬候補の4割を開発 創薬大国に躍り出た中国

第2章
日本企業サバイバル
目指すはがん領域で世界トップ5 第一三共「抗がん剤」集中の成否
[インタビュー]「がんで世界トップ5」に手応え 第一三共 社長兼CEO 奥澤宏幸
武田薬品 「目利き力」は向上するか メガファーマ構想の隘路
小野薬品  売上高の過半を稼ぐ主力薬が特許切れ 「ポストオプジーボ」 成長戦略をどう描く
大塚ホールディングス  腎疾患の治療薬で株価爆騰 特許の崖 「青田買い」で回避へ
「期待の新薬」はこれだ! 主要9社のパイプラインを診断

第3章
クスリの歪み
流産や新生児仮死の症例報告 やまぬ糖尿病薬の「やせ薬」利用
検査条件の緩和は進むか がん遺伝子パネル検査 立ちはだかる財政の壁
CEPIで守る国民の命と経済  国際公共財へ戦略投資を
[ルポ Meiji Seika ファルマ岐阜工場] ペニシリン原薬「国産化」の熱気

対談
経済同友会 前代表幹事 新浪剛史 × 経営共創基盤 CEO 塩野 誠
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中部電力・地震データ不正 背後に原発再稼働への固執
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|マネー潮流|市場シグナルを歪める大きな代償|佐々木 融
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|ビジネスと人生は絶望に満ちている|ひとりの傲慢が組織を死地に追いやるのか?|頭木弘樹
|西野智彦の金融秘録|住専アリ地獄⑥
|21世紀の証言|ハイデイ日高会長 神田 正 その2
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 10/19(月) 週刊東洋経済 2026年10月24日号
  • 10/26(月) 週刊東洋経済 2026年10月31日・11月7日合併号