特集「製薬 逆風下の勝ち筋」を担当した印南です。
日本の製薬業界は今、「MFN」の話題でもちきりです。
MFNとは、米トランプ政権が推進する最恵国待遇(Most Favored Nation)のことで、MFN薬価政策は、日本を含む先進諸国の安い薬価を参照し、アメリカでの処方薬の価格を引き下げることを目的としています。法制化はまだですが、政権と製薬企業との個別ディールを通じて、日本のアステラス製薬や協和キリンを含む計26社がすでに合意をしています。
着々と前進するMFNですが、その「全貌」は不透明です。上記の国内2社に合意内容を尋ねても「リリース以上のことは話せない」の一点張り。その一方、製薬業界は「日本の低い薬価が参照されて、アメリカでの業績が悪化する。それを避けるため、外資系の製薬大手が日本での新薬発売を見送り、『ドラッグロス』が拡大するだろう」と主張しています。こうした懸念は、はたして現実のものとなるのか。第1章では、MFNの実態に加えて日本市場への影響を検証しました。
MFNによる影響は不透明ながら、日本の医薬品市場「外資依存」がリスクであることは事実です。かつて世界の新薬の約3割を作っていた「創薬大国・日本」ですが、今や1割未満まで低下。近年では、中国が猛烈に追い上げています。結果、国内で販売される新薬の多くを外資系が供給しており、それが滞れば国民の健康が損なわれかねません。
そこで第2章では武田薬品工業、第一三共、大塚ホールディングスといった日本の製薬企業を「創薬力」をテーマに掘り下げました。さらに第3章では、国民の医療に必須である抗菌薬のサプライチェーンの「チャイナ・リスク」回避に向けて進められる、ペニシリン原薬の国産化プロジェクトをルポしています。
いくつもの逆風が吹く日本の製薬業界に「勝ち筋」はあるのか。その一端を考えるきっかけとなる構成になっています。ぜひ、ご一読ください。
担当記者:印南 志帆(いんなみ しほ)
早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

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