真っ赤な馬が出て来て、その上に乗っている者に、地上から平和を奪い、人間が相互に殺しあうようにする権限が与えられた。そして、彼に大いなる剣が与えられた。
小河陽訳『ヨハネの黙示録』より
アップルはいつも他者からインスピレーションを得る(アイデアを盗むときの常套句だ)。近年のアップルがインスピレーションを得ているのはぜいたくな高級品業界である。アップルは希少性を追求して並外れた利益を得るようになった。垢抜けないITハードウェア企業には逆立ちしてもまねできないことだ。
アップルのスマホ市場のシェアは、台数では14.5パーセントにすぎない。しかし全世界のスマホの利益の79パーセントを独占している(2016年)。
Sumra, Husain. “Apple Captured 79% of Global Smartphone Profits in 2016. ”MacRumors.
スティーブ・ジョブズは本能的にこのことを理解していた。
1977年にサンフランシスコで開催されたコンピュータ見本市の参加者は、会場のブルックス・ホールに足を踏み入れた瞬間に違いを感じた。他のパソコン会社の連中はむき出しのマザーボードや不細工な金属の箱を並べていた。しかしジョブズとウォズニアックは、褐色のプラスティック型におおわれたアップルIIのうしろに座っていた。これはのちに、エレガントなアップルの外見の特徴となった。
アップルのコンピュータは美しかった。エレガントだった。そして何より、ハッカーやプログラマーの世界において、アップルの製品はぜいたくなムードを醸し出していた。