私は第三の生き物が、「出て来い」と言うのを聞いた。私は見た、すると真っ黒な馬が現れたではないか。その上に乗っている者は、片方の手に天秤を持っていた。
小河陽訳『ヨハネの黙示録』より
フェイスブックは影響力でも情報収集でも秀でている。この能力がデジタル時代には大きな強みとなる。
それを支えるのが、デジタルに強い優秀な人材である。優秀な人間は自分の能力を発揮できるトップクラスの職場で働きたがる。将来の展望が明るく、至るところにチャンスと対処すべき興味深い問題があり、使える資金が唸るほどある職場。
それは例えばフェイスブックのような企業である。同社は設立5年目のワッツアップを買収するのに、ぽんと200億ドル出した。そんな度胸と駆動力を持つ会社はめったにない。
L2 Analysis of LinkedIn Data.
私の会社L2では、伝統的な会社も四騎士も含めて、大手企業間の人材移動を追跡している。
WPPは世界最大の広告代理店グループだ。この会社の元社員約600人が、フェイスブックへ移動している。逆に以前フェイスブックにいた社員で、WPPに移動したのはたった17人である。
逆移動してWPPへと移った17人について考えてみよう。その多くは、フェイスブックでインターンをしただけだったことがわかった。
彼らはその後入社のオファーをもらえず、WPPに入っていたのだ。近年の広告業界は、しだいにテック業界で就職できなかった人々が動かすようになっている。
これはデジタル業界の巨人たちの力をよく表している。単に機械が私たちのデータを大量に処理して、どんどん性能がよくなっているというだけではない。トップレベルのきわめて優秀な人材が集まってくるのだ。