アベノミクス「三本の矢」によって、雇用を中心として景気回復の動きが広がり、企業収益の増加が見られつつあります。こうしたなか、2016年度予算では、公債依存度は約36%に下がり、2015年度のプライマリー・バランス赤字「半減目標」を達成する見込みとなっております。しかし,世界経済の不透明感が増すなか、国内経済は力強さを欠いた状況で、2016年6月には消費税率の引上げが再度延期されました。
一方で、国と地方を合わせた長期債務残高は、2016年度末で1062兆円程度に達すると見込まれ、我が国の財政は依然としてきわめて厳しい状況です。2020年度のプライマリー・バランス黒字化という財政健全化目標に向けて、「経済・財政一体改革」を推進することにより、財政健全化と経済成長の両立を図っていくことが重要です。
本書は、こうした経済の現状を踏まえて、我が国の財政の現状と課題、政策目標をていねいに解説します。昭和30(1955)年に初めて刊行されて以来、多くの社会人や学生の方々に読み継がれてきた「財政白書」の最新版です。