週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2026年3月7日号最新号
2026年3月2日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】造船復興

衰退の一途だった日本の造船業への注目度が急上昇しています。高市政権が打ち出した経済安全保障強化の国策を追い風に“大復活”できるのか? 第1特集は「造船復興 国策大転換の行方」。政府が造船復興を決定した経緯や、今治造船、川崎重工業、常石造船など造船所の現場、日本企業が強みを発揮する「造船テック」の実状を追います。第2特集は「セブン-イレブン 王者復活への道筋」、第3特集は「現代版財閥」を目指す異色のプライベートエクイティー・ファンドについてリポートする「ミダスキャピタルの正体」です。
 

【第2特集】セブン-イレブン 王者復活への道筋


苦境に陥るコンビニの雄が過去の成功体験と決別し、復活ののろしを上げる。
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担当記者より

特集「造船復興 国策大転換の行方」を担当した森創一郎です。

1970年代のオイルショック以降、日本の造船業界は海運市況に翻弄され、重工各社は祖業の造船業を縮小し続けてきました。

代わって船造りを支えてきたのは、戦国時代の海賊・村上水軍にルーツを持つ、瀬戸内海沿岸を中心とする造船専業会社でした。これらの会社は非上場のファミリー企業が多く、時にはライバルとして争い、時には協業仲間として支え合ってきました。こうした独特の企業風土があったからこそ、ごり押しのようなスピード経営が可能となり、荒波とも言える市況の中で日本の造船業が生き残ってきたのです。

この造船業界が、国策の追い風を受け、経済安全保障の文脈でにわかに脚光を浴びることになりました。世界の造船市場は日本、中国、韓国の3国が寡占していますが、中でも中国は世界シェアの5割を握っています。地政学リスクの高まりの中で、日本の貿易の99%超を担う海上輸送を中国製の船に依存することに、日本政府が危機意識を持ち始めたのです。

しかし、これまで衰退産業の象徴だった造船業界には困惑も広がっています。見たこともない予算がついた国土交通省海事局は大いに発奮していますが、肝心の造船所はいまだ職人気質の世界で、デジタル化も遅れ、リストラに次ぐリストラで人手不足も深刻、教育機会も減るばかりです。数少ない上場造船会社は突然の株価上昇にかえって危機感を強め、関連企業も慣れない取材対応に四苦八苦するケースが少なくありません。

国は2035年までに日本の造船建造量を年1800万総トンへと倍増させる計画を打ち立てていますが、前途は多難。「建造量倍増など絵空事」と語る業界関係者もいます。

造船復興は、長い目でじっくりと見守っていく必要がありそうです。

担当記者:森 創一郎(もり そういちろう)
1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリーライター、放送記者を経て2020年から東洋経済記者。東洋経済編集部副編集長。

 

週刊東洋経済とは

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『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
造船復興 国策大転換の行方
[インタビュー]「中国造船に対抗」へ 日米が動いた舞台裏
 キヤノングローバル戦略研究所上席研究員 峯村健司
[インタビュー]「今が野心的な 目標に挑む 最後のチャンスだ」
 国土交通相 金子恭之

Part1
最前線リポート

現地ルポ ニッポン造船所のリアル
今治造船 新燃料タンクで攻めの投資
川崎重工業 脱職人技のデジタル造船所
常石造船 海外独自路線の勝機

地方の名門に迫る「人口減」の影 業界3位、大島造船所の苦悩
海運も造船も人材がまったく足りず 造船復興は絵空事になりかねない
日本郵船、商船三井、川崎汽船――造船復活のカギ握る「脱炭素」戦略
[インタビュー]「造船業が弱れば海運業も弱る、仕様の統一に協力」
 
日本船主協会会長 長澤仁志
「船を造らぬ会社」マイルズ 造船復活のカギ握る7社連合

Part2
実は強いニッポン勢

世界が刮目 造船テックの凄み
<エンジン> 三井E&S 次世代燃料で世界をリード
<レーダー> 古野電気 世界シェア4割の圧倒的仕組み
<船舶用塗料> 中国塗料 世界2位、防汚塗料で高い技術力
<バルブ> 大同特殊鋼 世界シェア8割のバルブの正体
シップファイナンス 「船舶融資」に群がる銀行

造船関連四季報 厳選16銘柄
防衛×造船 日本は勝てるか 元防衛装備庁長官 土本英樹
[インタビュー]「目指すべきは 先端技術による 安全保障だ」
 日本財団名誉会長 笹川陽平

第2特集
セブン-イレブン 王者復活への道筋
新経営陣が仕掛けたブランド再構築の成否
新たな店舗形態とFC契約で目指す1000店純増計画
[インタビュー]セブン-イレブン・ジャパン 社長 阿久津知洋
 「変化に対応できていなかった 多様化する価値に応えていく」

第3特集
「現代版財閥」目指す異色のPEファンド ミダスキャピタルの正体
私塾で国会議員13名 特別養子縁組支援も
[インタビュー]ミダスキャピタル企業群 上場3社のトップを直撃
 AViC 社長 市原創吾/GENDA 社長CEO 片岡 尚/BuySell Technologies 社長CEO 徳重浩介

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|編集部から|
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今後の発売スケジュール

  • 3/9(月) 週刊東洋経済 2026年3月14日・21日合併号