特集「粉飾地獄 不正会計の闇」を担当した田島靖久と申します。昨年から今年にかけて、日本を代表する大手企業の不正会計が相次いで明るみに出ました。このうちニデックの事案では、久しぶりにあることを思い出しました。不正会計を調査した第三者委員会の調査報告書に、驚くべき事実が書かれていたからです。
幼少の頃、父親がテレビで『必殺仕事人』を見ていました。藤田まことさん演じる中村主水が、弱者の恨みを晴らすため、裏の仕事を遂行していく人気時代劇です。まさにそんな中村主水さながらの人物が、ニデックにもいたと記されていました。「特命監査部長」なる人物です。彼は、秘密裏に不正を隠蔽したり、処理したりしていたというのです。
ただ、中村主水には裏稼業ながら弱者のためという「義」がありました。それに対し特命部長には義などなく、ただただ創業者の意を受けて不正を重ねていったという大きな違いがありました。
昨今起きている不正会計には、ある特徴があります。手口こそこれまでと変わらないのですが、その隠し方が巧妙になっていることです。ある公認会計士も「見破るのは不可能に近い」と嘆きます。今回の特集では、不正会計に手を染めた構造問題に加え、ゲートキーパーといわれる監査法人の問題についても掘り下げています。さらに不正会計の見破り方も掲載していますので、ぜひ、お読みいただければ幸いです。
担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

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