週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2022年7月9日号
2022年7月4日 発売
定価 730円(税込)
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【第1特集】人口減サバイバル

コロナ禍で再燃したのが少子化と人口減少という日本の抱える厳しい現実です。2021年の出生数は81万人と過去最少を記録し、出生率もコロナ禍で急落しています。急速な少子高齢化のひずみは年金・医療制度を揺るがし、地方経済を衰退させるなど多方面に波及しています。本特集では参院選後の社会保障改革の行方を探りつつ、20年前の消滅危機から復活し驚きの出生率2.9となった町の現地ルポや、9年連続で人口増となった明石市の泉房穂市長インタビューなど、人口減社会を乗り切るための改革プランも提示しています。
 

【第2特集】Googleの未来地図


検索やマップなど、ソフトウェアの巨人として名をはせてきたグーグル。なぜ今ハードウェア開発に入れ込むのか。

担当記者より

特集「人口減サバイバル」を担当した野村明弘です。いよいよ、7月10日に参議院選挙の投開票が行われます。主にマクロ経済や政策の取材・執筆を担当する東洋経済解説部として、参院選に当てた特集が何かできないかということになりました。それで作ったのが、今号の特集です。
 
目下、選挙の争点は、経済政策から安全保障、金融政策、インフレへの対応など多岐にわたります。ただ、全体的に今ひとつ盛り上がりに欠けるうえ、特集ですべての争点を総花的に取り上げることが、はたして読者本位なのかという議論になり、思い切って人口減少と社会保障問題にフォーカスすることにしました。
 
取材を通じて明確になったのは、参院選が終わったら、年金、医療改革の問題が急速にクローズアップされ、ある種の政治的な危機が訪れるのではないかということです。参院選後は、次の参院選や衆院議員の任期満了が3年後の2025年までやってきません。そのため、永田町では政治的に安定する「黄金の3年」が来ると言われ、岸田政権はそれを手中に収めるまでは難題を封印し、安全運転に徹してきました。
 
しかし、現実はそんな甘いものではない。出生率が再び悪化しているため、社会保障問題が再び火を噴き、政権が対応を誤れば、「黄金」どころか、「悪夢の3年」になるというのが本特集の見立てです。2009年の自民党の下野と民主党政権の誕生も社会保障問題の取り扱いが1つのきっかけでした。同じことが2025年に繰り返される可能性があります。
 
詳細は是非特集を読んでいただきたいと思いますが、有識者対談で慶応大学の権丈善一教授が「社会保障は分配を手段とした統治システムだから、統治の危機が来れば、逆に改革が一気に動き出す可能性がある」と指摘されたことは印象的でした。政治の危機が、社会保障改革を望ましい方向に前進させるのか。政策論の観点から見てエキサイティングな政治状況がやってきそうです。

担当記者:野村 明弘(のむら あきひろ)
編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
選挙後に迫る「年金危機」 人口減サバイバル

PART1 年金・医療の政治危機
岸田政権は社会保障で追い込まれる 迫る年金クライシス
[インタビュー]「次の3年への責務は大きい」 衆議院議員、首相補佐官 村井英樹
データで見る 日本の人口減
[インタビュー]「人口減は国を滅ぼす 古い家族観を見直せ」経営コンサルタント 大前研一

かかりつけ医制度は実現するか 波乱必至の医療大改革
全世代型社会保障構築会議メンバーが語る 参院選後、社会保障改革はどうなる? 
[対談]慶応大学 教授 権丈善一 × 上智大学 教授 香取照幸

PART2 人口減との付き合い方
「産めよ殖やせよ」は時代錯誤 人口減時代の改革プラン
20年前の「消滅危機」から復活 「出生率2.9」子育てに選ばれる町
[インタビュー]「子育て負担を減らせば街の商売人も儲かる」明石市長 泉 房穂

日本の少子化の根本原因 結婚、出産は「人並み」重視 山田昌弘
伊藤忠「社員の出生率」公表の真意
[インタビュー]「ケアの『脱家族化』と移民受け入れがカギ」 京都大学大学院 教授 落合恵美子
「所得制限」で少子化加速? 貧弱な日本の子育て支援策
[インタビュー]「子どもへの投資は高リターン」東京大学大学院 教授 山口慎太郎

低賃金で魅力薄れる日本 持続不能な「移民」政策
シニアのDXが日本を変える Z世代に“丸投げ”するな 大泉啓一郎

第2特集
Googleの未来地図
「グーグル検索」20兆円ビジネスの秘策
[インタビュー]グーグルCEO兼アルファベットCEO スンダー・ピチャイ
「ソフトとハード 両軸の開発が核に」

スペシャルリポート
パナソニックが「指定価格」導入 値引きNGにどよめく家電量販
「価格決定権」は誰のものか

ニュース最前線
「村上系ファンド」が触手 地銀が迫られる3つの選択
社長再任にファンドがNO フジテックが苦肉の策
イオンがPB価格据え置き 「やせ我慢」に広がる戸惑い


連載
|経済を見る眼|「できないこと」も「できる」と言う選挙|小峰隆夫
|ニュースの核心|岸田政権の「骨太方針」が触れない恐怖の円安リスク|野村明弘
|発見! 成長企業|HIOKI
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|富士フイルム ビジネスイノベーション 社長兼CEO 浜 直樹
|フォーカス政治|岸田政権「黄金の3年」に潜む危うさ|塩田 潮
|中国動態|「消費減税」は景気回復をもたらすか|梶谷 懐
|財新 Opinion &News|中国ドローン大手、車用自動運転システム投入
|グローバル・アイ|ロシアの軍資金を断つ「経済制裁とどめの一手」|ヘルマン・ハルシチェンコ/オレグ・ウステンコ
|Inside USA|保守思想再編で台頭の「ポストリベラル」とは何か|会田弘継
|FROM The New York Times|グーグルの元社員が告発 宗教団体との不適切な関係
|マネー潮流|参院選で議論されない財政健全化|中空麻奈
|少数異見|日本は割安、リーズナブルなのか
|知の技法 出世の作法|ウクライナ軍の外国人傭兵をロシアはどうみているか|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|65歳以上の優先接種者は ワクチン政策を高く評価|高久玲音
|話題の本|『ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください』著者 西田亮介氏に聞く ほか
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