安倍内閣による「三本の矢」の経済運営の一体的推進により,雇用を中心として景気拡大の動きが広がり,足元では,企業収益が過去最高水準となるとともに,所得から消費への好循環が生まれつつあります.こうしたなか,公債依存度は平成22年度以降,継続的に改善して平成29年度予算では約35%に下がり,2015年度のプライマリー・バランス赤字「半減目標」も達成しました.
一方で,国と地方を合わせた長期債務残高は,平成29年度末で1093兆円程度に達すると見込まれるなど,我が国の財政は,依然としてきわめて厳しい状況にあります.財政赤字は,社会保障制度における給付と負担のアンバランスと裏腹であり,少子高齢化に直面する我が国にとって先送りすることのできない構造的課題です.2020年度のプライマリー・バランス黒字化という財政健全化目標に向けて,「経済・財政一体改革」を推進することにより,経済成長と財政健全化の両立を図っていくことが重要です.
(「はしがき」より)
本書は、財政の仕組みや現状について、図表を使いながら、できるだけ具体的に分かりやすく、また幅広く解説した本として、昭和30(1955)年にはじめて刊行されて以来、社会人・学生の方々に読み継がれてきた財政の定本です。