少女が舞妓(プロ)になる瞬間、
彼女たちはどんな言葉を発し、 どんな言葉をかけられるのか――
折れることなく自分を勇気づけ、 舞い上がることなく自分を見つめ、 周囲との関係性に配慮できる、 しなやかな「心の芯」を作るための珠玉の教えを、 350年の伝統が育んだ言葉に込めて紹介する。
著者からのメッセージ
いつの時代も若者は、未経験で、未熟で、自信もない。 でも、ひたむきさを持って取り組んでいることを認めてほしいと願っています。
350年続く伝統産業である「京都花街」が、現代の10代半ばの少女たちを舞妓さんというプロフェッショナルに育成できる秘密は、伝統文化や人材育成の仕組みとともに、自分の経験や周囲の関係性を大切にしながら自律的なキャリア形成をうながす、「言葉の力」にもあるのではないかと思います。
第1章 仕込みさん 電信棒見ても、おたのもうします/教(お)せてもらう用意 など 第2章 見習いさん かわいがってもらいよしや/座ってるのも、お稽古 など 第3章 出たての舞妓さん おたのもうします/お目だるおした など 第4章 お紅をさす そのままほっとくのが恥ずかしいことや/相変わりませず など 第5章 髷(まげ)替え 姉さんが言わはる前に、うちが気ぃつかんと/たまたま表彰してもらえたんどす など 第6章 舞妓の社長 お客さまが喜んでくれはることが、一番うれしおす など 第7章 衿替え 一生、一人前になれへんのどす など
西尾久美子
にしお・くみこ
京都女子大学現代社会学部准教授
京都市下京区で数代続いた米穀商の家に生まれる。
京都府立大学女子短期大学部卒業後、大阪ガス株式会社勤務を経て、2001年滋賀大学経済学部卒業。2006年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期修了、博士(経営学)。神戸大学大学院経営学研究科助手、同COE研究員を経て、2008年4月より現職。専門は経営組織論、キャリア論。国内外での講演、TV・ラジオ出演多数。
主な著書に『京都花街の経営学』(東洋経済新報社、2007年)、『現代社会研究入門』(編著、晃洋書房、2010年)、主な論文に「伝統産業のビジネスシステム」『一橋ビジネスレビュー』(東洋経済新報社、2008年夏号) などがある。