算数は、頭をフル回転させながらじっくり考え、答えを導き出す科目です。
ところが、「この子、計算は得意だけど、文章題は苦手なんですよ」
こんなことを、女の子を持つお母さんから聞くことがよくあります。
お母さんだけでなく、子ども自身も、「私は、文章題が苦手です」と言うこともあります。
文章題が苦手な子の中には、「これは足し算? 引き算?」と尋ねる子もいます。
子どもが「これは足し算? 引き算?」と質問するようなら、
親としてかなり危機感を持たなければなりません。
というのも、そのような子は、文章題にあたったときに、
考えることをせず、すぐに答えを出したがるからです。
特に、計算が得意なタイプにそのような傾向が見られます。
小学校の低学年のときは、単純な計算能力を問われる問題がほとんどです。
このため、子ども同士の学力の差もあまり大きくありません。
ところが、中・高学年になると、物事を深く考えたり、
イメージしたりするといった学習がだんだん増えていきます。
そうすると、算数が得意な子と苦手な子の間に学力の差が生じ、
「算数は嫌い!」という子が出てきます。
算数が得意な子にするには、「できるできない」「○か×か」ではなく、
「算数っておもしろいなあ」「考え抜くって楽しいなあ」という経験や、
「わかった!」という瞬間の快感を味わわせなければなりません。
この本では、小学1年生から6年生まで、年齢別の注意点を含め、
お母さんがわが娘をどう導けばよいかを、詳しく書きました。
大人になっても、電車の中でスードクを解いたり、
パズルを解いている方もたくさん見ます。
テストとか評価というものから抜け出したら、
やっぱり数理的思考はおもしろくてたまらないものなのです。
この本が、子どもたちが生涯にわたって
算数好き・数学好きになってもらえる一助になれば、
こんなに嬉しいことはありません。
著者・高濱正伸