「初診数日本一の」名医が、タブーを破りすべてを公開!
認知症は改善が難しい病気とされてきたが、本書の著者・河野和彦医師は、患者に合わせた独特の投薬・処方で多くの認知症患者を劇的に回復させてきた。第5章に写真入りで紹介しているように、ほかの医療機関では改善しなかった歩行困難、摂食困難、徘徊、妄想、幻覚、無気力、無言症、うつ状態、易怒(いど)などが劇的に治り、家族など介護者に驚かれることもしばしばだという。著者のクリニックは、認知症の“駆け込み寺”的な存在となり、初診者数日本一を記録するまでになっている。
著者が、こうした30年にわたる治療経験を元に確立したのが新治療体系「コウノメソッド」で、ブログでノウハウを無料公開しているほか、医学書も刊行してきた。今では、全国でコウノメソッド実践医が200人を超えるまでになり、認知症治療の新潮流となっている。
だが、その一方で、旧来のマニュアルどおりの治療を続ける認知症専門医のほとんどは、認知症のタイプ分けも間違えており、投薬も適切でなく、かえって症状を悪化させているという。製薬会社の基準では、投薬量が多すぎ、患者を危険な状態に陥らせることもあるという。本書では、こうした従来の治療の中でも危険度の高いものを「デビルメソッド」として列挙し、症状を悪化させる医師の見分け方も挙げている。そのほか、認知症の4タイプの正しい見分け方や、コウノメソッドの基本や実際についても、豊富な症例と共に解説されている。
そして、これらにより、介護者が、患者が現在受けている治療に問題がないかをチェックし、医師に適切な治療を促すこともできるようになっている。また、巻末には付録として「全国コウノメソッド実践医リスト」も収録されているので、具体的な医師選びにも役立つ。
高齢者の4人に1人が認知症かその予備軍といわれる現在、患者や家族・介護者にとって必読の書といえる。