「偶然」はどのようにあなたをつくるのか

すべてが影響し合う複雑なこの世界を生きることの意味

ブライアン・クラース著/柴田裕之訳
2025年9月10日 発売
定価 2,640円(税込)
ISBN:9784492048115 / サイズ:四六/上/382

人生は自分次第だなんて、大嘘である。

私たちは何もコントロールしていないが、あらゆることに影響を与えている。
カオス理論や進化生物学、歴史、哲学など、多様な知見を縦横無尽に渉猟し、
世界の成り立ちや人生について考えさせる、壮大かつ感動的な書。

あなたの人生は偶然が支配し、この世界は成り行きの産物である。
成功や失敗も、進化も歴史も、小さな偶然の積み重ねに左右されている。

なのに、なぜ私たちはそこに理由や目的、秩序があると信じてしまうのか?
このような世界を生きることに、どんな意味があるのだろうか?

あなたのすべての行動は、たとえそれがどんなに些細なものであっても、
常に世界に影響を与え続けている。
世界はカオス的であり、人生は偶然によってつくられるからこそ、豊かで価値があるのだ。

『フィナンシャル・タイムズ』紙や『ニュー・サイエンティスト』誌、
ジョナサン・ゴットシャル(『ストーリーが世界を滅ぼす』著者)、
ショーン・キャロル(『量子力学の奥深くに隠されているもの』著者)など、
各紙誌や識者が絶賛する、人生の指針となる「偶然礼賛」の書。

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概要

人生は自分次第だなんて、大嘘である。世界はカオス的であり、人生は偶然によってつくられるからこそ、豊かで価値があるのだ。

目次

第1章 はじめに
第2章 何を変えてもすべてが変わる
 ――もつれ合って存在するなかでの個人主義の妄想
第3章 万事が理由があって起こるわけではない
 ――偶然とカオスが推進する世界で偶発性が幅を利かせる理由
第4章 私たちの脳はなぜ現実を歪めるのか?
 ――因果関係の単純なパターンを理解するように設計された頭の中では、ごまかしが役に立つ理由
第5章 制御も予測も不可能な人間の大群
 ――自己組織化臨界性がブラック・スワンを生み出す理由
第6章 ヘラクレイトスの不確実性の世界
 ――複雑で常に変わり続ける世界における確率の限界
第7章 物語を語る動物
 ――物語(ナラティブ)バイアス、信念、カオス的な世界での合理的な決定理論の限界
第8章 地球の籤引き
 ――地質が私たちの運命を決め、地理が私たちの進路を変える
第9章 誰もがチョウのように
 ――あなたも含めて、誰もが絶えず私たちの世界を変えている
第10章 私たちの人生を支配する時計と暦
 ――わずか一瞬の差であっても、タイミングは世界を変えるような影響を及ぼす
第11章 計量化と馬鹿げた方程式
 ――人間社会を理解するよりもロケット科学のほうが易しい理由
第12章 自由意志は世界を変えられるのか?
 ――人生は最初から決まっているのか、それとも、私たちは自由に未来を選べるのか?
第13章 私たちのすることのいっさいが大切な理由
 ――カオス的で絡み合ったこの世界における不確実性の利点

謝辞
原注

著者プロフィール

ブライアン・クラース  【著】
ぶらいあん・くらーす

ミネソタ州で生まれ育ち、オックスフォード大学で博士号を取得。現在はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの国際政治学の准教授。『アトランティック』誌の寄稿者で、『ワシントン・ポスト』紙の元ウィークリー・コラムニスト。受賞歴のあるポッドキャストPower Corruptsのホストを務めている。テレビへの出演も多数。著書に『なぜ悪人が上に立つのか』がある。個人のホームページはBrianPKlaas.com、Xのアカウントは@BrianKlaas。

柴田裕之  【訳】
しばた やすし

翻訳家。早稲田大学、Earlham College卒業。訳書に、ケイヴ『ケンブリッジ大学・人気哲学者の「不死」の講義』、エストライク『あなたが消された未来』、ケーガン『「死」とは何か』、ベジャン『流れといのち』『自由と進化』、オーウェン『生存する意識』、ハラリ『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』『NEXUS 情報の人類史』、カシオポ/パトリック『孤独の科学』、ドゥ・ヴァール『サルとジェンダー』、ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する』、リドレー『進化は万能である』(共訳)、ファンク『地球を「売り物」にする人たち』、リフキン『限界費用ゼロ社会』『レジリエンスの時代』、ファーガソン『スクエア・アンド・タワー』『大惨事(カタストロフィ)の人類史』、コルカー『統合失調症の一族』、ガロー『格差の起源』(監訳)、グレイ/スリ『ゴースト・ワーク』、ゾルン/マルツ『静寂の技法』、クラース『なぜ悪人が上に立つのか』、他多数。