賊軍の昭和史

半藤 一利著/保阪 正康著
2015年8月7日 発売 在庫なし
定価 1,650円(税込)
ISBN:9784492061961 / サイズ:四六/並/224

薩長(さっちょう)史観に隠された歴史の真実!

“官軍(かんぐん)”が始めた昭和の戦争を“賊軍(ぞくぐん)”が終わらせた!!

鈴木貫太郎(関宿)、石原莞爾(庄内)、米内光政(盛岡)、山本五十六(長岡)、井上成美(仙台)……など、幕末維新で“賊軍”とされた藩の出身者たちの苦闘を通して「もう一つの昭和史」を浮かび上がらせた異色の対談。
奥羽越列藩同盟など、幕府方につき新政府軍(官軍)抵抗した藩は、維新後「賊軍」としてさまざまな差別を受けた。その藩士の子息たちは、陸軍、海軍で薩長閥によって非主流派に追いやられ、辛酸をなめることになる。
やがて昭和に入り、日独伊三国同盟に反対した海軍の米内、山本、井上の賊軍トリオは、主流派である薩長閥に抗しきれず開戦を迎える。
そして、“官軍”が始めた無謀な戦争により滅亡の瀬戸際まで追い込まれた日本を救ったのは、鈴木貫太郎、米内光政ら賊軍出身者だった――。

新視点からあの戦争の真相を読み解き、いまに続く“官軍”的なるものの正体を明らかにする。



★著者の言葉

半藤一利
「あの戦争で、この国を滅ぼそうとしたのは、官軍の連中です。もっとも、近代日本を作ったのも官軍ですが……。
この国が滅びようとしたとき、どうにもならないほどに破壊される一歩手前で、何とか国を救ったのは、全部、賊軍の人たちだったのです」

保阪正康
太平洋戦争を批判するとき、実は薩長政権のゆがみが継続していた点は見逃せないのではないでしょうか……。
薩長閥の延長にある軍部を(賊軍の官軍的体質といったものまで含めて)批判するという視点がそのまま持ち込めるように思います。

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概要

賊軍藩出身の鈴木貫太郎(関宿)石原莞爾(庄内)米内光政(盛岡)山本五十六(長岡)井上成美(仙台)等からみた、もう一つの昭和史

目次

プロローグ 官軍・賊軍史観が教えてくれること  半藤一利
序  章 賊軍VS官軍――浮かびあがる「もう一つの昭和史」
第一章 鈴木貫太郎――薩長の始めた戦争を終わらせた賊軍の首相
第二章 東條英機――混乱する賊軍エリートたちの昭和陸軍
第三章 石原莞爾――官軍の弊害を解消できなかった賊軍の天才
第四章 米内光政、山本五十六、井上成美――無力というほかない賊軍の三羽烏
第五章 今村均――贖罪の余生を送った稀有な軍人
エピローグ  官軍的体質と賊軍的体質  保阪正康

著者プロフィール

半藤 一利  【著】
はんどう かずとし

昭和5年(1930)、東京生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、専務取締役などを経て作家。「歴史探偵」を自称。『漱石先生ぞな、もし』(正・続、新田次郎文学賞)、『ノモンハンの夏』(山本七平賞)、『日本のいちばん長い日』、『昭和史1926-1945』『昭和史 戦後篇』(毎日出版文化賞特別賞)、『幕末史』、『山本五十六』、『日露戦争史』(1、2、3)、『「昭和天皇実録」の謎を解く』(共著)など著書多数。保阪正康との共著(対談)に『そして、メディアは日本を戦争に導いた』などがある。

保阪 正康  【著】
ほさか まさやす

昭和14年(1939)、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒業後、出版社勤務を経て、ノンフィクション作家。昭和史の実証的研究を志し、のべ4000人もの関係者たちを取材して肉声を記録してきた。個人誌「昭和史講座」を主宰。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞を受賞。『昭和陸軍の研究』、『東條英機と天皇の時代』、『昭和史 七つの謎』、『あの戦争は何だったのか』、『風来記』(1、2)、『日本原爆開発秘録』、『昭和天皇実録 その表と裏1』など著書多数。半藤一利との共著(対談)に『日中韓を振り回すナショナリズムの正体』などがある。