湛山読本

船橋 洋一著
2015年11月20日 発売
定価 2,640円(税込)
ISBN:9784492061978 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:512

「ジャーナリスト湛山の真価を知るようになったのは1990年代以降の日本のいわゆる『失われた時代』を経て、日本のガバナンスの不具合を痛感してからのことである。バブルが崩壊し、不良債権処理につまづき、経済停滞が慢性化する。財政が危機的状況に立ち至り、金融が十分に機能せず、デフレが深まる。中国の台頭と挑戦で国民が動揺する。少子高齢化と人口減少が社会と企業にのしかかり、世代間公正が揺らぎ、所得格差が拡大する。ネット革命に伴うメディアの変質も手伝ってポピュリズムとナショナリズムが激化する。3・11大震災と福島原発危機。民主党政権メルトダウンと政党デモクラシーの揺らぎ。そして、安倍政権とアベノミクスの登場……。湛山が私たちの同時代に生きていたとしたら、それらのテーマをどう考えただろうか。私は、湛山の言葉にもう一度、しっかりと耳を傾け、そして語りかけたくなった。

『石橋湛山全集』のページをめくって、声を上げて原文を読む。ジャーナリスト湛山の肉声に耳を澄まし、その奥にさわだつ思想の息吹に触れてみる。そして、平成の『失われた時代』と第一次世界大戦と第二次世界大戦の『両大戦間』の『失われた時代』の2つの同時代の状況と課題を照らし合わせつつ、湛山の問題提起を切り口にして、私たちの時代の課題を考えてみる。」──本書「はじめに」より。



石橋湛山(1884-1973)は大正・昭和期に東洋経済新報社主幹として活躍したジャーナリスト。自由主義的論説で知られ、戦後は政治家に転じ、首相も務めた。本書は、近代日本を代表するジャーナリストである湛山の論説から珠玉の70編を選び、現代日本を代表するジャーナリストである船橋洋一氏が、その時代背景、現代的意義を説く。

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概要

現代日本を代表するジャーナリストが、大正・昭和期の石橋湛山の政治・経済論説から珠玉の70編を選び、その今日的意義を解説。

目次

はじめに──湛山は、天下国家の記者だった。
第一章 自由主義
第二章 第一次世界大戦
第三章 ワシントン体制
第四章 デモクラシー
第五章 デフレ論争
第六章 満州事変
第七章 統治危機
第八章 日中戦争
第九章 三国同盟
第十章 太平洋戦争
第十一章 再建の思想
おわりに──いまこそ、自由主義、再興せよ。

著者プロフィール

船橋 洋一  【著】
ふなばし よういち

一般財団法人日本再建イニシアティブ理事長。元朝日新聞社主筆。
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒業。1968年朝日新聞社入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007~10年12月朝日新聞社主筆。2011年9月独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」設立、現在、理事長。
ハーバード大学ニーメンフェロー(1975~76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005~06年)。
ボーン・上田国際記念賞(1986年)、石橋湛山賞(1992年)、日本記者クラブ賞(1994年)受賞。