“隠れ債務”が日本企業を直撃!
純資産も激減?
年金債務を時価で評価し、その変動を発生した時点で財務諸表に反映させる「即時認識」時代の退職給付会計がわかる。
近年の年金資産の運用難等によって、各企業年金において期待運用収益と実際運用収益の差異である「数理計算上の差異」が広がり、多額、かつ企業に不利なかたちで発生しているケースが多くなっています。
退職給付会計にかんする現行の日本基準では、この数理計算上の差異などが発生しても、発生した期の一時損益とするのではなく、一定のルールにもとづいて将来にわたって繰り延べることが認められています。また積立不足の場合、引当金に反映されないことにより、一種の「隠れ債務」となっているのではないかと指摘する声もあります。
しかし、2010年3月に企業会計基準委員会から公表された退職給付会計新基準の公開草案や、4月にIASB(国際会計基準審議会)から公表された草案では、現行の取扱いを見直し、年金債務を時価で評価し、その変動を発生した時点で財務諸表に反映させる「即時認識」にもとづいた退職給付引当金とする改正を行う予定です。
「隠れ債務」が企業を直撃し、純資産が激減するリスクにどう備えるか。新時代の退職給付会計をやさしく解説します。
第1章 即時認識がやってくる 第2章 現在の退職給付会計 ――IAS19号を中心に 第3章 IAS19号はどのように変わるか ――IAS19号改正の公開草案の概要 第4章 IFRSが日本基準を変える ――日本基準改正の公開草案の概要 第5章 IAS19号改正の日本企業への影響