著者コメント
本書第2版を出版するにいたった理由は、重複を省き、スリム化し、テキストとして諸項目の間のバランスをより良いものとするためである。初版からの大きな変化は、「都市計画」と「中央地方関係」の章を削除し、その内容を他の諸章に吸収したことである。これにより、分量は60ページあまり減少したが、内容的には、各章に関する最近の文献を検討し、引用すべきは引用することとした。
初版は、機関委任事務の廃止やその他規制改革を中心とする地方分権改革、市町村合併、税源移譲を含むいわゆる三位一体改革が行われた後に出版されており、新しい改革の波を受け止めて書かかれている。それでも地方自治をめぐる動きは激しく、本版において初めて取り上げた事項もある。特に、地方自治の二大アクターである議会と首長の関係や、議会の役割に関しては新しく書き直した箇所が多い。広域行政では道州制論議に触れるなど、最新の動きも触れ、講義の糸口を作る努力もした。
読者のご批判を仰ぐことができれば幸いである。(第2版へのはしがきより)
第1章 現代国家における地方自治 第2章 日本の地方自治の発展 第3章 各国の地方自治 第4章 自治体の統治システム 第5章 地方税財政 第6章 地方自治体の組織と地方公務員・人事行政 第7章 ガバナンスの時代の地方自治──NPMとNPO 第8章 合併と広域連携 第9章 教育 第10章 福祉政策と費用負担 終 章 近現代の地方自治思想
村松岐夫 (編者)
むらまつ・みちお
学習院大学法学部教授、京都大学名誉教授。
1962年京都大学法学部卒業。京都大学法学博士。京都大学大学院法学研究科教授等を経て現職。
主な著書に『戦後日本の官僚制』、『地方自治』、『日本の行政』、『行政学教科書』、『平成バブルの研究(上・下)』(編著)、『平成バブル先送りの研究』(編著)、『包括的地方自治ガバナンス改革』(編著)、『日本政治 変動の30年』等がある。