政と官の適切な関係を問い直す
「村松行政学」の集大成となるべき1冊。戦後日本の政治を規定してきた政権党(自民党)と省庁官僚制の関係がいかなるものであったのか、それがどのように崩壊していったのかを分析。
本書では、戦後の長きにわたって続いた自民党と官僚制の関係が政官スクラムと名づけられる。1980年代以降の、プラザ合意、バブルの発生と崩壊、冷戦終了とグローバリゼーションの進展、細川内閣の成立、自民党分裂と下野、自民党の復権と長い不況(失われた10年)、省庁再編(大蔵省から銀行局分離)、小泉政権の成立等の政治イベントのなかで、この政官スクラムがどのように変容してきたかが述べられている。
こうした流れのなかで、政官スクラム関係は、社会党のイデオロギーの変化、財政リソースの減少、小選挙区と党首リーダーシップの誕生、与野党の本格的な競争などを経て、崩壊にいたったと論じられる。そのうえで、新しい官僚システムを展望する。
第1章 「政官スクラム型リーダーシップ崩壊」仮説 第2章 省庁官僚の活動量の後退 第3章 省庁官僚の政治変化と省庁官僚制 :政治的中立化 第4章 自民党における組織規律の後退 第5章 「国会議員の行動の独立化」仮説 第6章 政官スクラムと団体 第7章 「政官スクラム」の地方的基礎の変容 第8章 政官スクラムの影響力の盛衰と類型 第9章 政治とテクノクラット
村松岐夫
むらまつ・みちお
学習院大学法学部教授、京都大学名誉教授。
1962年京都大学法学部卒業。京都大学法学博士。京都大学大学院法学研究科教授等を経て現職。
主な著書に『戦後日本の官僚制』、『地方自治』、『日本の行政』、『行政学教科書』、『平成バブルの研究(上・下)』(編著)、『平成バブル先送りの研究』(編著)、『包括的地方自治ガバナンス改革』(編著)、『日本政治 変動の30年』等がある。