なぜ日本人はかくも憎まれるのか?
なぜ中国の若者にこれほどまで愛国主義が根付いているのか?
なぜ天安門事件以降、中国共産党政権は国民の支持を回復したのか?
なぜ中国はアメリカと日本に対して、これまでより強気の主張をするようになったのか?
本書では、天安門事件と冷戦終結を経た今日の中国の政治的変遷、大衆心理、外交政策を説明する上で、「歴史的記憶」が現代中国の国民的なアイデンティティの形成にどのような役割を果たしているか、また政治的にどのように利用されてきたのかを、中国育ちの在米国際政治学者が、膨大な資料から解き明かす。中国の公文書、スピーチ、インタビュー、歴史教科書、歌など幅広い資料から分析した気鋭の研究。
国際関係学会[ISA]イェール・ファーガソン賞受賞Never Forget National Humiliation: Historical Memory in Chinese Politics and Foreign Relationsの待望の邦訳!
【レビュー】
「現代中国の極めて重大な一面の貴重かつ活気あふれる解説である」
『フィナンシャル・タイムズ』
「タイムリーで、しっかりした研究調査に基づいており、
中国のナショナリズム研究の画期的な成果といえよう」
H-ネット・レビューズ
「毛沢東以後のナショナリズムと中国の外交政策の鮮やかかつ精緻な研究」
『チャイナ・クォータリー』
【本書「序章」より】
……本書のテーマは「歴史的記憶」であって「歴史」ではないことを明記しておきたい――歴史上何が実際に起きたのかについての本ではなく、中国人が「歴史」というものをどう理解してきたか、そして政治的支配層が「歴史」をどう作ってきたかを探るのである。集合的な記憶は、実際の出来事や事実に基づくのではなく、想像の産物であったり、人為的に構築されたものであることがきわめて多い。実際の過去の出来事と、それらに関する作られた言説――その違いを意識しておかなければ、両者のギャップを埋めることもできるはずがない。