ハイパーソニック・グライド・ビークルという名前は、
格好が良い近未来の乗り物のようだ。
和訳して極超音速飛翔体というと、さらにSFの香りが強くなる。
しかし、これは兵器の名前である。しかも、ただの兵器ではない。
この兵器を使用されると、現在のところ、防御する手段がない。
世界中あらゆる地域に対して、極短時間で精密攻撃が可能である。
まさに、国際社会の秩序を変えるかも知れない戦略兵器なのだ。
そして、中国がこの新型戦略兵器の発射試験に成功した。
中国はなぜ、この新型戦略兵器の開発を進めるのか?
中国が何を目的として、どのようにその目的を達成しようとしているかは、
日本の安全保障に影響を与えるだけでなく、
国際社会のあり方にも大きな影響を与える可能性がある。
公開される情報に制限がある中国に関しては、
極超音速飛翔体をはじめとする軍事装備品の開発および配備の状況、
軍の活動などから、その戦略を導き出さなければならない。
兵器にはそれぞれ使用目的があり、
それを達成するためにそれぞれの性格を有している。
軍事装備品を見れば、軍事力を用いて何がしたいかをある程度理解できる。
さらに、中国の国内状況に対する理解を基礎に対外的な態度などを分析することで、
中国の軍事戦略をより正確に理解することができる。
暗躍するサイバー部隊は何をしているのか?
海軍力を急激に増強する目的は何か?
空軍はなぜ無謀な威嚇行為を行うのか?
習近平は戦争をする気なのか?
公開される情報に制限のある中国の意図を理解するためには、
1つ1つの情報を克明に追いかけ、つなぎ合わせる必要がある。
まさにインテリジェンスの手法である。
日中間には、危機管理メカニズムが存在しない。
相手の行動に対して誤解や恐怖が生じれば、予期せぬ軍事衝突が生じる可能性もある。
日本の安全保障のためには、中国の軍事戦略の意図を正しく読み解く必要がある。