属国民主主義論

内田 樹著/白井 聡著
2016年7月8日 発売
定価 1,760円(税込)
ISBN:9784492212271 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:360

攘夷ならぬ尊攘夷の「永続敗戦」レジームで対米従属を強化する日本。



いつ主権を回復できるのか?

本当の民主主義は、どのようなかたちで実現できるのか?




「コスパ化」「消費者化」「数値化」「幼稚化」「階級化」などをキーワードに日本を代表する2人の知性が徹底討議。

自発的隷従の論理と心理を抉り出す。

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概要

尊米攘夷の永続敗戦レジームを強化する日本。いつ、どのようなかたちで主権回復し、民主主義を実現できるのか?2人の知性が徹底討議。

目次

はじめに

第1章 さらに属国化する日本の民主主義

 ●加速する属国化
 ●主権回復と否認という病
 ●天皇の上位にあるアメリカ
 ●敗戦しなかったイタリア
 ●トランプ、サンダース対ウォール・ストリート
 ●孤立主義に向かうアメリカ
 ●安倍政権の改憲志向とアメリカの反応
 ●属国なんだからしかたない
 ●なぜ反安倍勢力は結集できないのか
 ●共産党は党外の人間と親しむべき
 ●社会に包摂されていた左翼思想
 ●日本人はいつ立ち上がるのか
 ●本物を知らない政治家たち
 ●くじ引きと投票二日制

第2章 帝国化する国民国家と霊性
 ●グローバル化とローカル化の波
 ●世界とリズムがずれている日本
 ●国民国家は帝国化に向かう
 ●帝国化時代の日本の立ち位置
 ●中国のシルクロード進出
 ●日本文化は端境期に生まれる
 ●低迷するフランス
 ●国民国家としての日本を支えている天皇制

第3章 コスパ化する民主主義と消費社会
 ●大衆の幼稚化とデモクラシーの危機
 ●反米から親米への転換点
 ●おカネを使うことだけが生きている実感
 ●社会の価値観の一元化
 ●コスパという病
 ●コスパ偏重と自己責任
 ●人は客観的な査定を求める
 ●効率追求で失われる雇用
 ●工場法以前の状況に近づいている日本

第4章 進行する日本社会の幼稚化
 ●幼稚化する老人たち
 ●旦那芸を復活せよ
 ●若い世代の幼稚化とイニシエーションの欠落
 ●受験勉強がなくなったことによる学力低下
 ●固定化しつつある階層と階級
 ●日本を脱出できる人間が高く評価される
 ●日本社会に蔓延する破滅願望
 ●原発再開が象徴するもの
 ●日本人の自己嫌悪とニヒリズム

第5章 劣化する日本への処方箋
 ●社会の土台は倫理である
 ●身体性を回復せよ
 ●イデオロギーよりも人間性
 ●ネッワークがあれば、生活は成り立つ
 ●社会には統制されていない部分が必要
 ●会社が持っていた共同体機能の消失
 ●都市と地方の文化資本格差
 ●日本の農業は自給自足に向かう
 ●悪徳資本家への天罰
 ●貨幣と身体性
 ●成長戦略論の間違い
 ●リフレ政策の嘘
 ●もう戦争しか需要を創り出せない

おわりに

著者プロフィール

内田 樹  【著】
うちだ たつる

1950年東京生まれ。思想家、武道家、神戸女学院大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業、東京都立大学大学院博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。凱風館館長、多田塾甲南合気会師範。著書に『ためらいの倫理学』(角川文庫)、『街場のアメリカ論』(文春文庫)、『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書、第6回小林秀雄賞受賞)、『日本辺境論』(新潮新書、新書大賞2010受賞)、『日本の反知性主義』(編著、晶文社)、『街場の戦争論』(ミシマ社)、『日本戦後史論』(白井聡氏との共著、徳間書店)などがある。第3回伊丹十三賞受賞。

白井 聡  【著】
しらい さとし

1977年東京生まれ。政治学者、思想史家、京都精華大学人文学部専任講師。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。著書に『未完のレーニン』(講談社選書メチエ)、『「物質」の蜂起をめざして――レーニン、<力>の思想 増補新版』(作品社)、『永続敗戦論』(太田出版、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞受賞)、『日本劣化論』(共著、ちくま新書)、『「戦後」の墓碑銘』(金曜日)、『戦後政治を終わらせる』(NHK出版新書)などがある。