最新版 北朝鮮入門

金正恩時代の政治・経済・社会・国際関係

礒崎 敦仁著/澤田 克己著
2024年3月20日 発売
定価 3,080円(税込)
ISBN:9784492212592 / サイズ:A5/並/344

 本書は2017年に刊行した『新版 北朝鮮入門』以来、7年ぶりの改訂版となった。北朝鮮の対外政策はこの間、米韓両国と対話を進めたり、交渉が頓挫すると一転して中露との連携を図ったりするなど目まぐるしく動いた。朝鮮労働党規約や憲法も改正され、政治体制のほか、軍事、経済、社会でも多くの変化が起きた。そのため多くの章で全面的な書き換えが必要となった。最新の動きを追加するだけでなく、歴史的な背景などを理解しやすくするため章の構成などを含めて一新した。
 金正恩が強調する「自力更生」や「自給自足」は、国際社会と隔絶された世界に生きる「国際的孤児」というイメージにつながりがちである。
 だが国連加盟国の8割以上は北朝鮮と国交を持っており、グローバルサウスには北朝鮮と良好な関係を維持している国が少なくない。そうした国々が抱く北朝鮮への認識は、日本のそれとは異なる。本書で取り上げたように、安保政策で連携する日米韓でも脅威認識に温度差があることを考えれば、その他の国々とのギャップは驚くに値しない。先進7カ国(G7)でも英国やドイツは北朝鮮と相互に大使館を設置して久しい。
 北朝鮮の核・ミサイル開発が北東アジアの不安定要素となっていることは論をまたない。それはけっして放置できない問題であるものの、即効性のある対応策を見出すのが困難なことも認めざるをえない。だからこそ、国際社会を俯瞰する広い視野を持ち、単に脅威を煽るのではなく北朝鮮の実像を冷静に見つめて現実的な対応策を議論することが求められている。

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概要

核・ミサイル開発から政治、経済、社会、国際関係まで全体像を網羅的に解説する北朝鮮研究の必読書、待望の大改訂!

目次

第1部 北朝鮮を知る
第1章 王朝国家・北朝鮮<3代世襲小史>
第2章 体制が揺るがない理由<北朝鮮の政治体制>
第3章 核兵器への執着<核・ミサイル開発>
第4章 究極の格差社会<北朝鮮の経済>
第5章 平壌で流行る韓流<北朝鮮の社会>

第2部 北朝鮮と世界
第6章 なぜ日本人を拉致したのか<日朝関係>
第7章 対話路線の期待と破綻<米朝関係>
第8章 統一へのためらい<南北関係>
第9章 なぜ北朝鮮をかばうのか<北朝鮮と中国・ロシアの関係>

巻末資料 憲法、党規約、各宣言、文献紹介、関連年表など

著者プロフィール

礒崎 敦仁  【著】
いそざき あつひと

慶應義塾大学教授。1975年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部中退。在学中、上海師範大学で中国語を学ぶ。慶應義塾大学大学院修士課程修了後、ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省専門分析員、警察大学校専門講師、ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロウ・ウィルソンセンター客員研究員を歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共編に『北朝鮮と人間の安全保障』(慶應義塾大学出版会)など。

澤田 克己  【著】
さわだ かつみ

毎日新聞論説委員。1967年埼玉県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。在学中、韓国・延世大学で韓国語を学ぶ。1991年毎日新聞社入社。ソウル特派員、ジュネーブ特派員、外信部長などを経て2020年から現職。著書に『「脱日」する韓国』(ユビキタ・スタジオ)、『韓国「反日」の真相』(文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、『反日韓国という幻想』(毎日新聞出版)など、訳書に『天国の国境を越える』『犠牲者意識ナショナリズム』(共に東洋経済新報社)。