格差とさまざまな指標(人々の健康や信頼、コミュニティ・ライフ、精神衛生、肥満、暴力、10代の出産など)の関係を明らかにし、格差社会は問題にあふれていることを描き出す
さらに、一定以上経済的に豊かになると、それ以上の経済成長で社会がよくなる余地は少なくなるので、それよりも、社会内の格差を小さくして平等社会を実現したほうが、社会で暮らす誰にとっても望ましいことを主張する。
効率性、という基準だけを追求していくと、ほかのさまざまな指標が犠牲になりかねないことを指摘する。
第1部 豊かになったが、社会はめちゃくちゃ 第1章 時代の終焉 第2章 問題は貧困かそれとも不平等か? 第3章 格差に苦しむのはなぜ? 第2部 格差のコスト 第4章 コミュニティ・ライフと社会的関係 第5章 精神衛生と薬物濫用 第6章 肉体的健康と平均余命 第7章 肥満――収入格差が広がるほど胴回りも広がる 第8章 学業成績 第9章 10代の出産:繰り返される愛情喪失 第10章 暴力――なめられないために 第11章 収監と刑罰 第12章 社会移動――不平等な機会 第3部 より良い社会 第13章 機能障害を起こした社会 第14章 社会的遺産 第15章 平等性と持続可能性 第16章 未来の建設
リチャード・ウィルキンソン
Richard Wilkinson
格差と、健康の社会的決定因に関する国際的研究の発展を後押しする役割を果たし、その著作は10の言語に翻訳されている。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済史を学び、のちに疫学を学んだ。現在、ノッティンガム大学メディカル・スクールの名誉教授であり、またユニバシティー・カレッジ・ロンドンの名誉教授。
著書に『格差社会の衝撃』(書籍工房早山)、『寿命を決める社会のオキテ』(新潮社)等。
ケイト・ピケット
Kate Pickett
ヨーク大学シニア・レクチャラーであり、ナショナル・インスティテュート・フォー・ヘルス・リサーチのキャリア・サイエンティスト。ケンブリッジ大学で形質(自然)人類学、コーネル大学で栄養学、カリフォルニア大学バークレー校で疫学を学んでから、シカゴ大学で准教授を4年間務めた。
酒井泰介 訳者
さかい たいすけ
翻訳家。ミズーリ州立大学コロンビア校にてジャーナリズムの修士号を取得。
最近の訳書に、ゴールマン『エコを選ぶ力』(早川新書juice)、カンサス『ウォールストリート・ジャーナル発、米国金融危機の全貌』(翔泳社)、ロイト『追跡! 私の「ごみ」』、ピアス『「エコ罪人」の告白』(以上、日本放送出版協会)など。ほか訳書多数。