ルポ・収容所列島

ニッポンの精神医療を問う

風間 直樹著/井艸 恵美著/辻 麻梨子著
2022年3月11日 発売
定価 1,760円(税込)
ISBN:9784492224045 / サイズ:四六/並/320

「本当は夢で、目が覚めたらやっぱり現実は閉鎖病棟内のままだった、と想像すると、怖くなって泣き出しそうになります。入院しているときは外で生活しているイメージがまったくできなくて、声を上げても誰も助けてくれず、二度とここから出られないと思った…」

「医療ではなかったと思っています。収容所のような場所でした。人間が人間を閉じ込めることができる世の中は怖い」

DV夫の策略で長期入院させられた看護師、拒食症を理由に77日間身体拘束された14歳の少女、規制はザル状態! まじめな女性ほど陥る市販薬乱用、認知症の診断で強制入院を余儀なくされた元警察官…

東洋経済オンラインで2700万PV突破の人気連載「精神医療を問う」待望の書籍化。

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日本の精神科病院を取り巻く現状は他の先進諸国と比較して異常な点ばかりだ。なぜ、世界標準からかけ離れた日本特有の精神医療がまかり通っているのか。本書は、東洋経済新報社の編集局宛に届いた、閉鎖病棟からの退院を望む患者の手紙をきっかけに、調査報道部の記者3人が足掛け3年に及ぶ精神医療に関する取材の記録である。当事者たちの切実な声に耳を澄まし、日本の精神医療の抱える深い闇へと分け入っていきたい。

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概要

長期強制入院、精神科移送、身体拘束、薬漬け…、当事者の切実な声に耳を澄まし続けた記録。日本の精神医療が抱える闇を明らかにする

目次

プロローグ 日本の精神医療が抱える深い闇
第1章 問答無用の「長期強制入院」
第2章 拉致・監禁まがいの「精神科移送」
第3章 死にまで至る「身体拘束」
第4章 本人の意思を無視した「薬漬け」
第5章 子どもの未来を奪う「薬物依存」
第6章 本末転倒の「福祉行政」
第7章 消極的な「情報開示」
第8章 密室化で「虐待横行」
第9章 反省なき「収容所列島」
エピローグ 門外漢が問題提起に取り組む意義

著者プロフィール

風間 直樹  【著】
かざま なおき

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院法学研究科修了。2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。東洋経済に復帰後は、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年1月から調査報道部、同年10月より現職。著書に『雇用融解』『融解連鎖』(共に東洋経済新報社)、『ユニクロ 疲弊する職場』(電子書籍、同)など。

井艸 恵美  【著】
いぐさ えみ

1988年群馬県生まれ。上智大学大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科国文学専攻修了。出版社での実用ムック編集などを経て、2018年東洋経済新報社に入社。『週刊東洋経済』編集部を経て、2020年から調査報道部記者。関心テーマは医療体制、児童虐待・貧困、教育問題。

辻 麻梨子  【著】
つじ まりこ

1996年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。『週刊東洋経済』編集部を経て、2020年から調査報道部記者。調査報道専門メディア「Tansa」のリポーターも兼ねる。児童虐待や生殖医療のビジネス化などを取材。製薬業界から医師に対する資金提供のデータベース化にも取り組む。