ルポ年金官僚

政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録

和田 泰明著
2024年4月10日 発売
定価 2,420円(税込)
ISBN:9784492224168 / サイズ:四六/並/448

100年安心は、まやかしなのか、不安を煽ったのは、誰か──。

 2025年、国民の5人に1人が後期高齢者になる。この国の年金制度はどうあるべきなのか。その解は、年金官僚たちの壮絶な攻防のドラマの中にちりばめられている。

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 私は「年金ブーム」の1年半ほど、ほぼ毎号、『週刊ポスト』の年金取材に明け暮れた。徹夜もしょっちゅうだったが、20代後半という若さ、知識を吸収する喜びがあり、記者としての手ごたえを感じた時期だ。私の記者人生の〝青春〟であった。
 ただし、いくらメディアが激しく批判をしたところで、法律が大きく修正されることはなく、順調に成立した。社会保険庁は解体に追い込まれたが、それで国民生活が良くなったのか、今もって実感がない。
 恥を忍んで言えば、「マクロ経済スライド」が人口減少、平均余命の延びによる調整に過ぎないことを、私は本書の取材で初めて理解した。制度の本筋とずれた所を、懸命に掘り下げていたのである。年金取材にどっぷり浸かった私ですらそうだから、一般国民が知るよしもないだろう。
 2005年に『週刊文春』に移籍してからも、編集部は私に、年金の記事を数多く担当させてくれた。年金は、私にとって〝背骨〟のような取材対象であり続けた。
 本来、私は記者として何を報じるべきだったのか。こうまでメディアを、私を、惹きつける年金とは一体何なのか──。それを解き明かし、ノンフィクション作品として世に問いたいと決意したのが、本書執筆の動機である。

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概要

20年以上にわたり年金問題を取材し続けてきたジャーナリストが、政治とメディア、巨額の積立金に翻弄されたエリートたちを描く!

目次

序 章 元霞が関トップの〝遺言?
第一章 まやかしの「100年安心」
第二章 小山学校
第三章 年金局長の野望
第四章 河童の涙
第五章 年金不信の正体
第六章 大蔵省資金運用部
第七章 民主党年金改革の蹉跌
第八章 GPIF改革の真相

著者プロフィール

和田 泰明  【著】
わだ やすあき

1975年生まれ。広島県出身。1997年岡山大学法学部卒業後、山陽新聞社入社。上京後、大下英治事務所を経て、『週刊ポスト』記者に。2004年5月、「小泉首相の年金未納は6年8か月」をスクープ。2005年4月から2024年2月まで『週刊文春』特派記者として、主に政治記事を担当した。著書に『小池百合子 権力に憑かれた女:ドキュメント東京都知事の1400日』(光文社新書)がある。