2008年にノーベル経済学賞を受賞し、
歯に衣着せぬ評論で一般の読者の間でも
高い人気を誇る著者による、マクロ経済学の入門書。
「これまでとは違う本を書きたかった」
本書のはしがきで、著者のポール・クルーグマンはこう宣言している。この言葉どおり、経済理論と現実経済の事例が絶妙なバランスで組み合わさっていて、教科書としてだけでなく、読み物として読んでも楽しめるような内容となっている。
マクロ経済はどのように動くのか、マクロ経済学はどのように生まれたのかといった基本的なところから説き起こし、経済と経済学の流れを俯瞰できるような記述となっている。経済上の大事件として1930年代の大恐慌がたびたび登場するなど、昨今の経済危機を考えるヒントも与えてくれる、知的刺激に富んだ本。
第1部 経済学ってどんな学問? 第1章 最初の原理 第2章 経済モデル:トレードオフと取引 第2部 供給と需要 第3章 供給と需要 第4章 市場の逆襲 第5章 消費者余剰と生産者余剰 第3部 マクロ経済学入門 第6章 マクロ経済学:経済の全体像 第7章 マクロ経済を追跡する 第4部 長期の経済 第8章 長期の経済成長 第9章 貯蓄、投資支出、金融システム 第5部 短期の経済変動 第10章 総供給と総需要 第11章 所得と支出 第12章 財政政策 第13章 貨幣、銀行、連邦準備制度 第14章 金融政策 第6部 サプライサイドと中期 第15章 労働市場、失業、インフレ 第16章 インフレ、ディスインフレ、デフレ 第7部 事件とアイデア 第17章 現代マクロ経済学の形成 第8部 開放経済
ポール・クルーグマン
プリンストン大学経済学部教授。
2008年、ノーベル経済学賞受賞。
同大で定期的に経済原論を担当している。イェール大学で学士号を、MITで博士号を取得。現職以前には、イェール大学、スタンフォード大学、MITで教鞭をとった。1982~83年には1年間大統領経済諮問委員会(CEA)のスタッフも務めた。主な研究分野は国際貿易。収穫逓増と不完全競争に焦点を置いた「新しい貿易理論」の創始者の1人である。国際金融、特に通貨危機の問題にも取り組んでいる。1991年、アメリカ経済学会のジョンベイツクラーク賞受賞。日本語への翻訳書多数。
ロビン・ウェルス
プリンストン大学経済学研究員。
同大で定期的に学部の授業を担当している。シカゴ大学で学士号を、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。その後MITで博士課程終了者として研究活動に携わる。ミシガン大学、サウサンプトン大学(イギリス)、スタンフォード大学、MITで教鞭をとる。彼女の教育・研究の関心は組織論とインセンティブ理論にある。常時、学術ジャーナルに寄稿している。
大山道広(おおやま みちひろ) 東洋大学経済学部教授
石橋孝次(いしばし こうじ) 慶應義塾大学経済学部准教授
塩澤修平(しおざわ しゅうへい)慶應義塾大学経済学部教授
白井義昌(しらい よしまさ) 慶應義塾大学経済学部准教授
大東一郎(だいとう いちろう) 東北大学大学院国際文化研究科准教授
玉田康成(たまだ やすなり) 慶應義塾大学経済学部准教授
蓬田守弘(よもぎだ もりひろ) 上智大学経済学部准教授