経済をうまく機能されるために大切なこと
複雑な経済の仕組みをわかりやすい寓話でシンプルに説き明かした本。交換の原理にはじまって、資本財の意味、貸付の効力、政府の誕生とその意味、貨幣の役割、金融緩和によるインフレの恐さ、外貨準備に備わる危険性まで、幅広く論じる。
著者はオーストリア学派の思想の持ち主で、政府が積極的に経済に関与することを認めるケインジアンには否定的。サブプライム危機後、アメリカ政府が打ち出した政策に強い反対を示している。消費を刺激すれば経済が活性化するという考えは間違いだという。経済の機能を学ぶだけでなく、現実経済の動きを読むのにも参考になる。
第1章 ひらめき 第2章 富の配分 第3章 信用あれこれ 第4章 経済発展 第5章 協力は繁栄のみなもと 第6章 貯金は銀行に 第7章 インフラと通商 第8章 共和国の誕生 第9章 知恵を使いはじめた政府 第10章 縮んでいく魚 第11章 遠方からの命綱 第12章 重要性を増すサービス産業 第13章 交換停止 第14章 住宅バブル 第15章 バブル崩壊 第16章 悪あがき 第17章 通貨危機
ピーター・D・シフ
Peter D.Schiff
ピーター・D・シフはベストセラーCrash Proof(未邦訳)やThe Little book of Bull Moves in Bear Markets(鈴木立哉『「下げ相場」はこうして儲けなさい』東洋経済新報社、2010年、いずれもJohn Wiley & Sons 刊)などを持つ作家。ウォール街では先の読める人物と呼ばれて 久しく、2008年の経済危機を予測したことで有名。
キャリアの始まりはシェアソン・リーマンで、1996年に海外市場と証券を専門とするブローカー・ディーラーのユーロ・パシフィック・キャピタルに入社。2000年から同社社長。
彼の談話は『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『バロンズ』、『フィナンシャル・タイムズ』、『ニューヨーク・タイムズ』その他TVやケーブルTVの経済番組などで紹介されている。2009年には、故郷コネチカット州で米国上院議員選に立候補。同州ウェストンに妻マーサ、息子スペンサーと暮らしている。詳細は、次の公式ウェブサイトまで。
http:www.peterschiffonline.com
アンドリュー・J・シフ
Andrew F.Schiff
アンドリュー・J・シフは、ユーロ・パシフィック・キャピタルのコミュニケーション・ディレクターで、同社の広報担当もながらく務めている。PRと金融コミュニケーションの専門家としてさまざまな会議で講演をし、自由資本主義と小さな政府について述べている。
ニューヨーク州ブルックリンに、妻パクストン、そしてイーサンとエリーザという2人の娘と暮らす。余暇には歴史書を読み、建築を眺め、マンドリンを演奏。
酒井泰介 【訳者】
さかい・たいすけ
翻訳家。ミズーリ州立大学コロンビア校にてジャーナリズムの修士号を取得。
最近の訳書に、ウィルキンソン&ピケット『平等社会』(東洋経済新報社)、ゴールマン『エコを選ぶ力』(早川新書juice)、カンサス『ウォールストリート・ジャーナル発、米国金融危機の全貌』(翔泳社)、ロイト『追跡! 私の「ごみ」』、ピアス『「エコ罪びと」の告白』(以上、日本放送出版協会)など。ほか訳書多数。