障害を問い直す

松井 彰彦編著/川島 聡編著/長瀬 修編著
2011年6月24日 発売
定価 3,960円(税込)
ISBN:9784492314128 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:332


経済学と障害学の対話から何が生まれるのか



どうしたら「障害者」を社会に適応させられるか、ではなく、どうしたら社会を「障害者」に合わせて作れるかを考える、というところからスタートした学際研究の成果の第一弾。



法学、社会学、教育学、経済学、障害学などの異分野の研究者たちが改めて「障害」とは何かを考える。


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概要

経済学と障害学という、一見接点のなさそうな両分野の対話から生まれる新しい研究成果を世に示す。「障害」という課題を通じて、人々のものの見方と、社会のあり方を深く考えるための一冊。

目次


はしがき

序 章 社会の中の障害者
    ――なぜ、「障害」を問い直さなければならないのか? 松井彰彦


第1章 顔の異形(いけい)は「障害」である
    ――障害差別禁止法の制定に向けて 西倉実季


第2章 障害女性の貧困から見えるもの 臼井久実子・瀬山紀子

第3章 きょうだい――文化と障害 河村真千子

第4章 障害者制度改革の取組み
    ――日本の障害者制度の課題 長瀬修

第5章 「ふつう」の人の国の障害者就労 松井彰彦

第6章 知的障害の歴史――イギリスと日本の事例 大谷誠・山下麻衣

第7章 障害者は「完全な市民」になりえるか? 星加良司

第8章 ディスアビリティ経験と公/私の区分 飯野由里子
 
第9章 差別禁止法における障害の定義
    ――なぜ社会モデルに基づくべきか 川島聡

第10章 障害等級を定めることの困難性 関口洋平

第11章 「障害を定義する」ということ 坂原樹麗・佐藤崇

終 章 盲ろう者と障害学 福島智

著者プロフィール

【編者紹介】

松井彰彦
まつい あきひこ

東京大学大学院経済学研究科教授。東京大学経済学部卒業。ノースウェスタン大学M.E.D.S.にてPh.D.(Managerial economics and decision sciences)取得。ペンシルバニア大学経済学部助教授、筑波大学社会工学系助教授を経て現職。主な研究分野は理論経済学、ゲーム理論、障害と経済の理論。

著書に『高校生からのゲーム理論』(ちくまプリマー新書、2010年)、『向こう岸の市場(アゴラ)』(勁草書房、2007年)、『市場(スーク)の中の女の子(PHP研究所、2004年)』、『慣習と規範の経済学』(東洋経済新報社、2002年、第46回日経・経済図書文化賞受賞)など。エコノメトリック・ソサエティ、フェロー(終身特別会員)、理事。「ゲーム理論の観点から社会現象全体を解釈しようとする研究」により、学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。国際的な業績を挙げた45歳未満の経済学者に贈られる日本経済学会中原賞受賞。

川島 聡
かわしま さとし

東京大学大学院経済学研究科特任研究員。新潟大学大学院現代社会文化研究科修了。博士(法学)。内閣府障がい者制度改革推進会議・差別禁止部会構成員。ハーバード・ロースクール客員研究員。主な研究分野は国際人権法、ディスアビリティ法。

著書に『障害者の権利条約と日本─概要と展望』(共編著、生活書院、2008年)、『概説 障害者権利条約』(共編著、法律文化社、2010年)など。

長瀬 修
ながせ おさむ

東京大学大学院経済学研究科特任准教授。上智大学外国語学部卒業。Institute of Social Studies(オランダ)にて修士号取得。青年海外協力隊(ケニア)、八代英太参議院議員秘書、国連職員(オーストリア、米国)、東京大学先端科学技術研究センター特任助教授等を経て現職。インクルージョン・インターナショナル(国際育成会連盟)理事、内閣府障がい者制度改革推進会議構成員。主な研究分野は障害学。

著書に『障害学への招待』(共編著、明石書店、1999年)、『障害者の権利条約と日本』(共編著、生活書院、2008年)など。