アイデンティティ経済学

アカロフ,G.A.著/クラントン,R.E.著/山形 浩生訳/守岡 桜訳
2011年7月22日 発売 在庫なし
定価 2,420円(税込)
ISBN:9784492314142 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:264


なぜ人は一見筋の通らない行動をとるのか?

より人間性を増した分析から、何が得られるのか?

自己認識を組み込んだ新しいモデルを構築する



従来の経済学では、人々は金銭的動機のみによって動くという前提で分析をしていた。しかしそれはあくまで分析のための仮定であって、現実を正しく反映したものではない。人は金銭的動機だけで動くのではない。それは現実にも、また行動経済学などの新しい経済学的ツールによっても明らかにされている。



人々を動かすそうした非金銭的動機を整理して、マクロの経済危機を分析したのが、前著『アニマルスピリット』だった。



本書では、よりミクロな視点で、各個人(各経済主体)の行動に光をあてる。すなわち各個人は「アイデンティティ」によって動くことと、またそれを前提にして、経済学をどう変革すればいいかを示す。「情報の経済学」で経済学の新たな地平を開拓したノーベル賞受賞経済学者が、今また新しい地平を開拓しようとしている、野心的な本。


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概要

従来の経済学ではほとんど扱われてこなかった、人々のアイデンティティを経済学モデルに組み込もうとした斬新な書。組織、教育、差別など、多くの問題をより豊かに分析するための新しいツールを示す。

目次

第I部 経済学とアイデンティティ
第1章 はじめに
第2章 アイデンティティ経済学
第3章 効用におけるアイデンティティと規範
第4章 今日の経済学での位置づけ
第II部 仕事と学校
第5章 アイデンティティと組織の経済学
第6章 アイデンティティと教育経済学
第III部 性別と人種
第7章 性別と仕事
第8章 人種とマイノリティの貧困
第IV部 今後の展望
第9章 アイデンティティ経済学と経済学の方法論
第10章 結論、そしてアイデンティティが
    経済学を帰る五つのやり方


 

著者プロフィール

ジョージ・A・アカロフ
George A.Akerlof

カリフォルニア大学バークレー校コシュランド経済学教授。
2001年ノーベル経済学賞受賞。

レイチェル・E・クラントン
Rachel E. Kranton

デューク大学経済学部教授。

山形浩生   【翻訳者】
やまがた・ひろお

1964年東京生まれ。東京大学工学系研究科都市工学科修士課程修了。マサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務するかたわら、科学、文化、経済からコンピュータまで、広範な分野での翻訳と執筆活動を行う。

著書に、『訳者解説』(バジリコ,2009年)、『要するに』(河出文庫、2008年)、『新教養としてのパソコン入門』(アスキー新書、2007年)、『新教養主義宣言』(河出文庫、2007年)、『たかがバロウズ本。』(大村書店、2003年)など。
訳書に、リーソン『海賊の経済学』(NTT出版、2011年)、レヴィティン『「歌」を語る』(ブルース・インターアクションズ、2010年)、エアーズ『その数学が戦略を決める』(文春文庫、2010年)、ケルアック&バロウズ『そしてカバたちはタンクで茹で死に』(河出書房新社、2010年)、ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』(鹿島出版会、2010年)、アカロフ&シラー『アニマルスピリット』(東洋経済新報社、2009年)など多数。

守岡 桜   【翻訳者】
もりおか・さくら

翻訳家。
共訳書に、ハーツォグ『ぼくらはそれでも肉を食う』(柏書房、2011年)、ボルドリン&レヴァイン『〈反〉知的独占』(NTT出版、2010年)、ショート『毛沢東(上・下)』(白水社、2010年)、サイド『非才!』(柏書房、2010年)、ブラックモア『「意識」を語る』(NTT出版、2009年)、オクレリー『無一文の億万長者』(ダイヤモンド社、2009年)、シンガー&エイヴァリー『地球温暖化は止まらない』(東洋経済新報社、2008年)など多数。