ジャスミン革命、ウォール街のデモ、ヨーロッパの債務危機・・・・・
ますます混迷するグローバル経済を知るための、最初の一冊。
『スティグリッツ 経済学シリーズ』は、約20年前の1993年に原書が刊行されて以来、経済学分野におけるグローバル・スタンダード・テキストの草分け的存在として知らない者はないほどの存在となった。
そのテキストの姿勢は一貫して、市場メカニズムを重視しつつも、市場の不完全性と限界を明確に認識した、ミクロ経済学とマクロ経済学を統一的に展開した「新しい経済学」である。特に著者がその発展に貢献し、ノーベル経済学賞受賞(2001年)の理由となった「情報の経済学」からの分析を多く取り入れ、さまざまな問題に応用しているのが特徴である。
『入門経済学』は、その中での経済学のエッセンスを学び取れるよう、そしてミクロ、マクロ経済学の両方を短縮的に修得できるよう、スティグリッツ自身の編集したマクロ部分が充実している点に特徴がある。
また、2008年のアメリカ発の金融危機、ユーロ危機についてスティグリッツ自身が特別に書き下ろした日本語版のための第12章「グローバル危機」が本書には含まれているグローバル・スタンダード・テキストの最新版。
第1章 現代の経済学 第2章 経済学的な考え方 第3章 需要、供給、価格 第4章 需要・供給分析の応用 第5章 市場と効率性 第6章 不完全市場入門 第7章 公共部門 第8章 マクロ経済学と完全雇用 第9章 経済成長 第10章 失業とマクロ経済学 第11章 インフレーションと総需要・失業 第12章 グローバル危機:金融システム・世界経済・地球環境
ジョセフ・E・スティグリッツ
Joseph E. Stiglitz
コロンビア大学教授
2001年に「情報の経済学」を築きあげた貢献により,G・A・アカロフ,A・M・スペンスとともにノーベル経済学賞を受賞.
イェール大学,オックスフォード大学,プリンストン大学,スタンフォード大学を経て,現在はコロンビア大学教授.その研究活動の範囲はきわめて幅広く,ノーベル経済学賞の受賞理由となった「情報の経済学」のほかにも,時間とリスク,金融市場,財政,貿易,経済発展・開発など,経済学の多様な分野に新しい角度から鋭い分析を行い,多大な貢献がある.
1993年から1997年にかけてクリントン政権下の大統領経済諮問委員会(CEA)委員・委員長,また1997年から2000年に世界銀行上級副総裁兼チーフエコノミストを務めるなど,現実の政策問題の分析・解決にも積極的にかかわっている.
カール・E・ウォルシュ
Carl E. Walsh
カリフォルニア大学サンタクルツ校教授
プリンストン大学,オークランド大学(ニュージーランド),スタンフォード大学を経て,現在カリフォルニア大学サンタクルツ校教授.
特に金融分野において数多くの貢献があり,サンフランシスコ連銀のシニアエコノミストの経験もある.現在も,サンフランシスコ連銀,カンザス連銀,フィラデルフィア連銀や連邦準備制度理事会の客員研究員を務める.そのほか,香港,ノルウェー,ポルトガル,スペイン,イギリスなどの中央銀行,およびIMF等の調査部門で金融経済学のコースを教えている.