本書では、ゲーム理論の具体的な応用方法を丁寧に解説しています。ゲーム理論を環境、特許、道徳・哲学、制度設計などのさまざまな具体的状況に応用する方法を解説。非協力ゲームのみならず、協力ゲーム、シミュレーション、ゲーム実験など多岐にわたる内容から構成されるテキストです。
想定されている読者層はゲーム理論の入門的な講義の受講を終了し、その応用を試みていこうとする方を主としています。しかしながら、ゲーム理論初学者にも取り組みやすいように、基本事項に関する定義の解説やまとめなども備え、できる限り他のテキストなどを参照せずとも読み進むことができるようにしました。その一方、十分にゲーム理論を修得した大学の3、4年生や大学院初級の方にも、ゲーム理論の応用として最近注目されている興味深いテーマを提供しています。
具体的名構成は下記のとおりです。
第1章では環境問題、第2章は特許とライセンスの問題、第3章は公共財の費用分担問題が扱われる。そこでは、協力ゲームと非協力ゲームの両方を含めたハイブリッドなモデルを用いた応用が紹介される。
第4章と第5章は、権利や規範に対するゲーム理論によるアプローチである。
第6章と第7章では、制度を取り扱ったゲーム実験が紹介される。
第8章は水資源配分の問題に関する国際間の協調の問題を取り扱っている。
第9章、第10章はシミュレーション分析である。第9章では気候変動のガバナンスに関するゲーム分析、第10章では少数派が勝利するゲームを分析する。
第11章は、計算機理論とゲーム理論の関わりを示す。