反緊縮の経済学

野口 旭著
2021年8月6日 発売
定価 4,400円(税込)
ISBN:9784492315361 / サイズ:A5/上/434

 「よくわかる」「入門」では飽き足らない読者向けに、経済論壇および経済政策の現場で活躍する硬派エコノミストが、世界経済の現状を解説し、世界の経済論戦を展望する経済評論書。
 世界経済の回復は遅々として進まず、近年はコロナ禍がそれに追い打ちをかけている。多くの国は財政赤字の拡大をおそれ、「不況下の財政引き締め」が世界的に蔓延している。他方で、世界の多くの経済学者たちは、このような深刻な不況下では「超拡張的な金融政策とマイルドな財政政策のポリシー・ミックス」を主張してきた。この流れをより大きな経済学説史の視点から見ると、これまで繰り返されてきた「緊縮派と反緊縮派の終わりなき闘い」のバリエーションとみることもできる。MMTの台頭も、その文脈でとらえることが可能だ。
 本書は、2000年代からコロナ禍にいたる世界経済の状況と、世界の経済論戦を展望し、なぜ停滞が長引いているのか、これから世界経済はどこへ向かうのか、この間、世界の経済学者たちは何を議論してきたのかを明らかにし、世界経済の本格回復のために必要な政策を提言する本である。

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概要

経済論壇および経済政策の現場で活躍する硬派エコノミストが、世界と日本の経済論戦の意味を読み解き、その大胆な見取り図を描く。

目次

第1章 いまなぜ反緊縮か
第2章 緊縮と反緊縮--交錯する思想と理論
第3章 変転するケインズ主義の政策戦略--ケインズ主義IからIIへ
第4章 保守派の転成--緊縮主義からオルトライト・ケインズ主義へ
第5章 躍り出た現代貨幣理論(MMT)
第6章 政府債務の将来負担と財政の維持可能性
第7章 コロナ禍に対応する経済政策
第8章 ケインズ主義III--反緊縮のための財政金融統合政策

著者プロフィール

野口 旭  【著】
のぐち あさひ

1958年生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。専修大学経済学部助教授・教授等を歴任。博士(経済学・中央大学)。
主な著書に、『構造改革論の誤解』(共著、東洋経済新報社、2001年)、『経済学を知らないエコノミストたち』(日本評論社、2002年)、『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、2004年。日経・経済図書文化賞受賞)、『エコノミストたちの歪んだ水晶玉』(東洋経済新報社、2006年)、『グローバル経済を学ぶ』(ちくま新書、2007年)、『経済政策形成の研究』(編著、ナカニシヤ出版、2007年)、『世界は危機を克服する』(東洋経済新報社、2015年)、『経済政策形成の論理と現実』(専修大学出版局、2020年)等。