長州藩農民は、はたして「且且渡世(かつかつとせい)」の状態であったか?
江戸時代後期の長州藩によるセンサス―『防長風土注進案』という類い稀な史料を解析し、長州藩の領国経済を数量経済史的に再構成。農業を中心に、織物業などの産業も含めて、数量経済史の手法で、長州の経済発展とその構造を分析した研究成果。
国民(地域)経済計算勘定体系に依拠した産出高・所得・消費支出の推計、就業構造の解明、領国内諸地域間および産業間の市場を通した連関のあり方など、斬新な知見が盛り込まれた数量経済史研究であり、徳川体制下における市場経済展開のあり方の一つを描き出している。
第I部 三田尻宰判の経済計算 第1章 「物産」純生産と消費支出 第2章 「産業所得」と地域経済計算 第3章 三田尻における兼業の諸様相
第II部 飯料需給・消費支出と産業収入・職業別統計 第4章 前山代の飯料は最低の生存資料水準であったか 第5章 周防大島の飯料需給と米市場、 および産業収入と消費支出 第6章 上関宰判の経済と社会 第7章 山口宰判の飯料と稲作 第8章 人口と稲作生産:安永から天保へ 第9章 長門3宰判の飯料・消費支出と物産・産業
第III部 産業とその連関 第10章 木綿織 第11章 廻船業 第12章 産業の連関