スクエア・アンド・タワー(上)

ネットワークが創り変えた世界

ニーアル ファーガソン著/柴田 裕之訳
2019年12月6日 発売 在庫なし
定価 2,750円(税込)
ISBN:9784492371268 / サイズ:四六/上/400

世界を動かすのは、垂直に延びる階層制組織の頂点に立つ権力者か?
あるいは、水平に延びる草の根のネットワークをもつ革命家か?
「人的ネットワーク(スクエア)」と「階層制組織(タワー)」の視点から歴史を捉え直した、比類なき試み。

フリーメイソンからジョージ・ソロス、トランプ大統領まで
「いま最もすぐれた知性」による文明を見る眼


ルネサンス、印刷術、宗教改革、科学革命、産業革命、ロシア革命、ダヴォス会議、アメリカ同時多発テロ、リーマン・ショック、フリーメイソン、イルミナティ、メディチ家、ロスチャイルド家、スターリン、ヒトラー、キッシンジャー、フェイスブック、トランプ……

社会的ネットワークが世界を変えたと言ったならば、一握りの集団が世界を動かしているといった陰謀論を思い浮かべることだろう。

だが、歴史にネットワーク理論をもちこめば、さまざまな人物のつながりが、どのように世界を動かしてきたのかが明らかになる。

人類の歴史におけるさまざまな変化は、階層制の秩序に対する、社会的ネットワークに基づく挑戦とも言える。

イノベーションは異なる組織に属する人々のネットワークから生じ、アイデアはネットワーク内の弱いつながりを通して、水平方向に広がる。近代文明はそのネットワークの力によって、爆発的に発展したのである。

しかし一方で、国家に見られるような垂直にそびえ立つ階層制がなければ、ネットワークが内包する脆弱性ゆえに、社会は崩壊しかねない……

タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、「いまもっとも優れた知性」と目される歴史学者が、ネットワークと階層制というかつてない視点で世界を読み解く!

【推薦の言葉】
「ファーガソンはシリコンヴァレーが必要とする歴史を提示してみせた」――エリック・シュミット(元グーグルCEO)
「歴史の知識を大きな問題へと関連づける」――インディペンデント紙
「魅惑的で人の心をつかんで離さない」ーーニューヨーク・タイムズ紙
「彼が捉えなおした歴史は、今後何年も影響を与え続けることだろう」ーーガーディアン紙
「ニーアル・ファーガソンは再び素晴らしい本を著した」ーーウォールストリート・ジャーナル紙

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概要

垂直にそびえ立つ階層制の組織と、アイデアや情報を伝える横に広がる分散型のネットワークとの緊張関係が、歴史を動かしてきた。

目次

はしがきーーネットワークにつながった歴史家

第1部 序――ネットワークと階層制
第1章 イルミナティの謎
第2章 ネットワーク化された私たちの時代
第3章 遍在するネットワーク
第4章 国家や企業はなぜ階層制なのか?
第5章 7つの橋から6次の隔たりまで
第6章 弱い紐帯と急速に広まるアイデア
第7章 さまざまなネットワーク
第8章 異なるネットワークが出合うとき
第9章 ネットワーク理論の7つの見識
第10章 解明されたイルミナティ

第2部 大航海時代の皇帝と探検家
第11章 古代と中世の階層制
第12章 ネットワーク化された最初の時代
第13章 ルネサンス期の取引の技法
第14章 新たな交易ルートの発見者たち
第15章 ピサロとインカ帝国
第16章 印刷術と宗教改革

第3部 科学革命と啓蒙運動
第17章 宗教改革の経済的結果
第18章 アイデアを交換する
第19章 啓蒙運動のネットワーク
第20章 アメリカ独立革命のネットワーク

第4部 王家による階層制の復興
第21章 フランス王政復古の失敗
第22章 フランス革命からナポレオンによる専制政治へ
第23章 列強による秩序の回復
第24章 ザクセン=コーブルク=ゴータ家
第25章 ロスチャイルド家
第26章 産業革命のネットワーク
第27章 5大国体制からイギリスの覇権主義へ

第5部 大英帝国の秘密結社
第28章 「ラウンド・テーブル」あるいはミルナーの「幼稚園」
第29章 間接支配と中央集権
第30章 太平天国の乱
第31章 アメリカにおける中国人排斥運動
第32章 南アフリカ連邦という大英帝国の幻想
第33章 ケンブリッジ「使徒会」のネットワーク
第34章 第1次世界大戦の勃発

原注/参考文献/図版出典/口絵出典

著者プロフィール

ニーアル ファーガソン  【著】
にーある ふぁーがそん

スタンフォード大学フーヴァー研究所の上級フェローであり、ハーヴァード大学ヨーロッパ研究センターの上級フェロー。北京の精華大学における客員教授やワシントンDCにあるニッツェ高等国際関係大学院のディラー=フォン・ファステンバーグ・ファミリー財団卓越研究員も務める。『憎悪の世紀』、『マネーの進化史』、『文明』、『劣化国家』、『大英帝国の歴史』、『キッシンジャー』などの著書がある。

柴田 裕之  【訳】
しばた やすし

翻訳家。早稲田大学、Earlham College卒業。訳書に、ケーガン『「死」とは何か』、ベジャン『流れといのち』、オーウェン『生存する意識』、ハラリ『サピエンス全史』『ホモ・デウス』、カシオポ/パトリック『孤独の科学』、クチャルスキー『完全無欠の賭け』、ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する』、リドレー『進化は万能である』(共訳)、ファンク『地球を「売り物」にする人たち』、リフキン『限界費用ゼロ社会』ほか多数。