冷静で重厚な分析に裏打ちされた、経済社会モデルの到達点を、気鋭のエコノミストが示す。
「市場主義1.0」とは、レーガン・サッチャー政権下の米英両国で採用された新自由主義にもとづく経済社会モデルを、
「市場主義2.0」とは、戦後の北欧においてケインズ型福祉国家モデルのオルタナティブとして開発されたモデルを原型とする経済社会モデルを指す。
「市場主義3.0」とは、これらが現実を通じて鍛えられ、 互いに影響し合うことによって見えてきた、経済社会モデルの現時点での到達点である。
『資本主義が始まって以来、欧米諸国における経済社会モデル構築の軌跡は、「市場」と「国家(政府)」の間の、その主導権を巡る確執の歴史とみることができる。 そうした文脈からすれば、経済システム面での「市場」の優位と、社会システム面での「市場」と「国家」の融合からなる「市場主義3.0」は、現状で見通しうる、先進国における経済社会モデルの到達点と位置づけられるというのが本書の主張である』
――「まえがき」より
序 章 閉塞感の背景にあるもの 第1章 わが国の直面する構造問題とブレークスルーのビジョン 第2章 「市場主義2.0」の原型――知られざる北欧モデルの実像 第3章 省エネ・ソフト型産業構造への転換 第4章 ビジネス・モデルとワーク・スタイルの転換 第5章 地域再生モデルの転換 第6章 成長・財政と両立する社会保障の抜本改革 終 章 「市場主義3.0」に基づく新しい成長社会へのロードマップ
山田 久
やまだ・ひさし
(株)日本総合研究所・調査部長、チーフエコノミスト。
1963年生まれ。87年京都大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行。同行経済調査部、(社)日本経済研究センター出向を経て、93年(株)日本総合研究所に出向。同研究所調査部マクロ経済研究センター所長、ビジネス戦略研究センター所長を経て2011年より現職。03年法政大学大学院修士課程(経済学)修了。
主な著書に『デフレ反転の成長戦略』(東洋経済新報社)『雇用再生』(日本経済新聞出版社)など。