2050年には貧困高齢者が1000万人を超える
「持続的な成長は」もうありえない
2025年には団塊の世代が、2050年には団塊ジュニア世代が後期高齢期(75歳以上)に入り終える。このままでは、実質GDPは現在より4割落ち込み、国税収入のほとんどを貧しい高齢者の生活保護で使い切るようになる。国家の役割を限定し、国が提供するサービス、国家と個人の関係を見直さなければ、社会保障制度の破綻は避けられない。
本書では「経済成長すれば何とかなる」といった根拠のない楽観論を排するとともに、「経済成長が期待できない超高齢化・人口減少社会のもとではどのような社会保障システムが新たに構築可能であるのか」を大胆に提言する。
序 章 出発点は現実の直視 第1章 麻薬としての経済成長信仰:社会保障制度の破たんは想定外? 第2章 2050年の日本の姿:2025年の後に控える悲惨な将来図 第3章 福祉国家からナショナルミニマム国家への転換:視座の転換、すなわち、常識は必ず変わる 第4章 ナショナルミニマム国家における社会保障システムとは:グランド・デザインと現実的な対応策のスケッチ 終 章 求められる英断
小笠原泰
おがさわら やすし
明治大学国際日本学部教授.
1957年,鎌倉生まれ.東京大学卒,シカゴ大学社会科学大学院・経営学大学院修了.
マッキンゼー&カンパニーを経て,アグリメジャーである米国カーギル社ミネアポリス本社入社.ミネアポリス本社,カーギルB.V.(オランダ),カーギルPLC(イギリス)勤務を経て,NTTデータ経営研究所へ.同社パートナーを経て,2009年4月より現職.
主たる著書:
『日本型イノベーションのすすめ』日本経済新聞社,2009年
『なんとなく,日本人』PHP新書,2006年
『日本的改革の探究』日本経済新聞社,2003年
『CNCネットワーク革命』(共編著)東洋経済新報社,2002年
渡辺智之
わたなべ さとし
一橋大学大学院経済学研究科及び国際・公共政策大学院教授.
1957年,京都市生まれ.東京大学卒,プリンストン大学大学院経済学研究科卒,Ph.D.
財務省勤務,IMFアジア局エコノミスト,OECD租税委員会第9作業部会副議長,一橋大学経済研究所助教授,財務総合政策研究所研究部長,中央大学大学院国際会計研究科教授を経て,2005年4月より現職.
主たる著書:
『アジア投資からみた日本企業の課税』(共編著),中央経済社,2007年
『税務戦略入門:タックス・プランニングの理論と事例』東洋経済新報社,2005年
『インターネットと課税システム』東洋経済新報社,2001年