経済発展における国家の役割とは何か?
民主主義と経済発展は
どのように関係しているのか?
民主主義が定着せず、ガバナンスが欠如しているから、アフリカの国々は発展できないとよく言われる。民主主義の度合いと所得の間には強い相関関係があり、この議論には一理あるように思われるが、東南アジアの国々も、急速な経済発展を開始する前からガバナンスがしっかりしていたわけではない。
本書では、しっかりしたガバナンスのあることが経済発展の前提条件であるとは考えない。むしろ望ましい国家の建設は、経済発展との相互作用を通じて徐々に形成されるものであると考える。
経済発展に対して、国家はどのように機能しうるのか、どんな国家が経済発展に寄与し、どんな国家が経済発展をさまたげるのかについて、8カ国(インドネシア、ルワンダ、エチオピア、エルサルバドル、マレーシア、ケニア、インド、中国)の国々を事例研究としてとりあげ、その成果を政治学者と経済学者が共同で比較検討することで、「国家建設と経済発展」についての一般的な関係を解明することを研究した渾身の一作。
序 章 分析的枠組みと視点 第I部 国家の建設 第1章 インドネシアにおいて経済成長の政治は 第2章 内戦後ルワンダの国家建設 第3章 エチオピアにおける開発国家建設の試み 第4章 中米の和平プロセスにおける民主化と発展 第II部 国家と開発 第5章 ブミプトラ政策の成功と限界 第6章 ケニアにおける暴動の政治経済分析 第7章 インドの地方分権と地域間格差 第8章 中国農村における選挙の実施と公共財投資 第9章 所得格差と農業保護 終 章 国家建設と経済発展