「世界金融・債務危機の最大の教訓は何かと問われれば、それは、これまで個別に扱われる傾向があった金融政策、金融市場の規制・監督、財政政策、構造改革を相互に密接に関連した一体不可分のものとして捉える必要があるということであろう。とりわけ政策分野間の相互連関に注意が必要な分野は三つある。第一は、金融政策と金融規制・監督の連携である。第二は、金融・財政政策と構造改革の相互連関である。第三は、国内と海外の政策の連関である。」……「はじめに」より
2007年以降の世界金融危機とそれに続くユーロ圏の政府債務危機は,これまでの経済政策運営のあり方に大きな疑問を投げかけるものであった。欧米の経済学者たちや、OECD、IMFなどの国際機関のエコノミストたちは、今後、このような危機を起こさないためには、どのような政策をとるべきかについて、さかんに議論を繰り広げてきた。
本書は、グローバル金融・財政危機以降、欧米の経済学者たちがどのような議論を行ってきたかを展望し、理論的な整理を行う。一つの政策分野に偏ることなく、金融監督政策(第1章)、マクロ経済政策(第2章)、財政政策(第3章)、構造改革(第4章)について、包括的に論じる。
経済政策について論じる際に読んでおくべき専門文献が、あますところなく取り上げられ、内容が詳しく紹介されている。専門家にとっては、文献ガイドとして非常に有益な一冊である。