世界は危機を克服する

ケインズ主義2.0

野口 旭著
2015年2月27日 発売
定価 3,456円(税込)
ISBN:9784492444115 / サイズ:四六/上/560

なぜ、大停滞から抜け出せないのか
世界の経済学者たちは何を議論してきたのか

1930年代の大恐慌から今日に至るまで、経済不況をめぐる論戦は、つねに「ケインズ主義対反ケインズ主義」の図式で争われてきた。21世紀の世界経済危機においても、反ケインズ主義陣営は「不況下の財政引き締め」を主張し、それに対してケインズ主義陣営は「超拡張的な金融政策とマイルドな財政政策のポリシー・ミックス」を主張してきた。日本の「アベノミクス」も後者の陣営に位置づけられる。本書は、大恐慌以来80年の経済論戦を展望し、世界の経済学者たちは何を議論してきたのか、世界経済はどこへ向かうのかを明らかにする。アベノミクスによって注目を集める「リフレ派」。野口旭教授はその代表的な論客の一人であり、本書は、野口教授の知的格闘を集大成した待望の書き下ろしである。

「この財政政策積極主義と金融政策消極主義によって特徴づけられる初期のケインズ主義は、現代の地点からは『ケインズ主義(I)』と呼ぶことが可能であろう。それに対して、今回の世界経済危機を経て浮かび上がってきた新しいケインズ主義は、いわば『ケインズ主義(II)』とでも名づけられるべきものである。本書の副題にあるように、これを『ケインズ主義2.0』といってもよいだろう。その本質は、赤字財政主義と金融政策積極主義の統合である。」──「終章」より

推薦の言葉──イェール大学名誉教授 浜田宏一
「今日の世界を眺めると、アメリカ経済は絶好調のようだが、FRBの金融緩和政策の「出口」を心配する人たちもいる。日本ではアベノミクスは大成功だったが、消費税増税の副作用が現れている。ユーロ圏はようやくアベノミクスに学んでデフレ退治に乗り出そうとしているが、ドイツはかつての日銀のように金融緩和政策に抵抗していた。中国の将来にもたくさんの不安定要因がある。このような時代にあっては、一人でも多くの国民が、経済メカニズムとその思想的背景を正しく理解することが重要である。
 私の共同研究者である野口旭教授は、国際経済学の専門家であると同時に、経済思想と現今の経済政策との関連の研究では、日本の第一人者である。アベノミクスの神髄を理解している数少ない経済学者の一人でもある。
 一人でも多くの読者が本書を熟読し、古いマルクス主義的思考の影響や、官庁の言いたいことを代弁している経済学者・エコノミストの影響を脱して、自分たちの生活を改善するのに役立つ経済学に目覚めてほしい。」

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概要

リーマン・ショックから今日に至るまで、世界経済はなぜ迷走を続けているのか。「リフレ派」の代表的論客、待望の書き下ろし。

目次

第1章 世界経済危機の変質
第2章 世界的金融危機はなぜ起きたのか
第3章 世界経済危機と危機下の経済政策
第4章 主要国のマクロ経済政策とその中間的総括
第5章 不況下における財政政策の基本原理
第6章 非伝統的金融政策の論理(1)──ポートフォリオ・リバランスと為替チャネル
第7章 非伝統的金融政策の論理(2)──期待チャネルと政策レジーム転換
第8章 財政と金融の統合政策──ヘリコプター・マネー
第9章 世界的マクロ安定化への課題──金融政策と財政政策の正常化
第10章 政策パラダイムとしてのケインズ主義と反ケインズ主義
終章 ケインズ主義の終わりなき闘い

著者プロフィール

野口 旭  【著】
のぐち あさひ

1958年生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。専修大学助教授等を経て、現在、専修大学経済学部教授。主な著書に、『構造改革論の誤解』(共著、東洋経済新報社、2001年)、『経済学を知らないエコノミストたち』(日本評論社、2002年)、『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、2004年。日経・経済図書文化賞受賞)、『エコノミストたちの歪んだ水晶玉』(東洋経済新報社、2006年)、『グローバル経済を学ぶ』(ちくま新書、2007年)、『経済政策形成の研究』(編著、ナカニシヤ出版、2007年)等。