AFTER SHARP POWER(アフター・シャープパワー)

米中新冷戦の幕開け

小原 凡司著/桒原 響子著
2019年12月6日 発売
定価 1,980円(税込)
ISBN:9784492444559 / サイズ:四六/並/288

ファーウェイやTZEなど中国企業に対する制裁、
チャイナウォッチなど中国メディアへの警戒感の高まり、
孔子学院の閉鎖、中国人留学生の締め出し……。

いま米国では、中国が親中派を増やす世論工作を「シャープパワー」と呼び、
中国排除の動きが強まっている。

シャープパワーとは、中国やロシアなどの権威主義国家が、
強制や情報の歪曲、世論操作などの強引な手段を用いて、
相手国に自国の方針をのませようとするものである。

米中の対立は、いま動向が注目されている米中貿易戦争から、
5Gなどの次世代技術、核・ミサイル開発を含む安全保障、政治体制の領域まで広がり、
米中新冷戦の様相をみせ、国際社会に影響を及ぼしている。

本書では、中国のシャープパワーが米国で排除された後の米中関係の動きを、
次の点に注目しながら追いかける。

 ・中国のシャープパワーとは何か?
 ・米国は中国の何を恐れているのか?
 ・米ソ冷戦のような軍拡競争がはじまるのか?
 ・欧州、アジア、アフリカでは米中の対立をどう見ているのか?
 ・米中新冷戦のなかで日本が進むべき道は?

日本も無関係ではいられない。
米国につくのか、中国につくのか、両者を取り持つのか…、
世界を巻き込む米中対立の狭間で、
いま、日本政府だけでなく、日本企業にも踏み絵を突き付けられている。

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概要

米中新冷戦の要因といわれる「中国のシャープパワー」を詳細に解説し、経済対立から政治対立へと様相を変える米中関係の今後を探る。

目次

第1章 米国が恐れる新たな世界秩序

1 米国の親中派を増やす世論工作
2 NDS2018の最優先課題
3 台湾を失う恐怖
4 米国は何を恐れているのか

第2章 中国のシャープパワーの排除

1 シャープパワーとは何か
2 中国のシャープパワーの起源
3 孔子学院の排除
4 逆風を招いたトランプ支持層の切り崩し
5 次なるターゲットは日本か

第3章 5Gで世界の覇権を狙う

1 5Gを支配する国が新しいルールをつくる
2 「中国製造2025」に潜む意図
3 「2つの100年」が持つ政治的な意味
4 次世代AI発展計画

第4章 米中新冷戦の幕開け

1 エスカレートする米中貿易戦争
2 中国共産党指導部に衝撃を与えたZTE事案
3 米国と中国は価値観を共有できない
4 「新冷戦」は「冷戦」とどう違うのか
5 やがて政治戦へと移行する

第5章 米中の軍拡競争がはじまるのか

1 泥沼化する安全保障のディレンマ
2 中国が太平洋で展開する対米核抑止
3 中国がインド洋で展開する空母外交
4 中国の空母打撃群は脅威になるか
5 南シナ海の軍事的緊張は激化する
6 軍事力強化に舵を切った米国
7 かく乱要因としてのロシア

第6章 構造化する米中新冷戦

1 米中の外交努力が世界を二分する
2 中国国防白書に見る米国との対決姿勢
3 東南アジアに接近する中国
4 アフリカは中国支持に回ったか
5 太平洋島嶼国における中国の焦り
6 経済発展を失った中国共産党が頼るもの
7 米中冷戦はいつまで続くのか

第7章 米中新冷戦のなかで日本が進むべき道

1 日本は無関係ではいられない
2 戦略的競争への参加
3 コンセンサスを得る努力
4 反日パブリック・ディプロマシーから学ぶ教訓
5 日本の「正しい姿」をいかに世界に伝えるか
6 パブリック・ディプロマシーの本質
7 日本の未来はパブリック・ディプロマシーで決まる

著者プロフィール

小原 凡司  【著】
おはら ぼんじ

各種メディアで情報発信している安全保障、中国の軍事問題の専門家。1985年防衛大学校卒業、1998年筑波大学大学院修了。1985年海上自衛隊入隊後、回転翼操縦士として勤務。2003~06年駐中国防衛駐在官。2006年防衛省海上幕僚監部情報班長、2009年第21航空隊司令、2011年IHS Jane’sアナリスト兼ビジネス・デベロップメント・マネージャー、2013年東京財団研究員を経て、2017年から笹川平和財団上席研究員。著書に、『中国の軍事戦略』(東洋経済新報社)、『世界を威嚇する軍事大国・中国の正体』(徳間書店)、『何が戦争を止めるのか』(ディスカバー・トゥエンティワン)、『曲り角に立つ中国』(共著、NTT出版)などがある。

桒原 響子  【著】
くわはら きょうこ

パブリック・ディプロマシーなど、各国の戦略的発信を中心とした外交戦略を専門にする新進気鋭の研究者。2012年米国ウエストバージニア大学で国際政治学や通訳・翻訳などを学び、2017年大阪大学大学院国際公共政策研究科修士課程修了。笹川平和財団研究員、外務省大臣官房戦略的対外発信拠点室外務事務官などを経て、2019年から未来工学研究所研究員、日本国際問題研究所研究員、京都大学レジリエンス実践ユニット特任助教。