中国が世界を攪乱する

AI・コロナ・デジタル人民元

野口 悠紀雄著
2020年5月22日 発売
定価 1,980円(税込)
ISBN:9784492444573 / サイズ:四六/並/300

2018年以降、米中貿易戦争が世界経済に大混乱をもたらした。
2020年、新型コロナウイルスの感染が世界に広がった。
感染源とされる中国では経済活動が徐々に平常化しているが、欧米をはじめ各国では依然、予断を許さない。
これらのできごとを通じて見えてきたものは何か?

中国は人類の長い歴史において世界の最先端にいたが、
16世紀頃から状況が変わり、とくにアヘン戦争以後は衰退がめだっていた。
しかし、最近の中国の躍進ぶりを見ると、昔の歴史が復活してきたように見える。
超長期の観点で見ると、これは「歴史の正常化」なのだろうか?

歴史の正常化とは、単に中国が大国化するというだけでなく、社会の基本原理に関する対立が復活することなのかもしれない。
分権的で自由な社会を作るのか、集権的で管理された社会を作るのか。
米中経済戦争やコロナとの戦いの本質は、未来社会の基本原理をめぐる戦いだと捉えることができる。
われわれは、いま、歴史の重要な分岐点にいる。

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概要

米中貿易戦争の本質はIT化が進んだ未来社会の基本原理をめぐる戦いだ。世界史を振り返りつつ、我々が重大な岐路にあることを説く。

目次

第Ⅰ部 米中経済戦争の進展
第1章 新型コロナウイルスは経済活動をどの程度落ち込ませるか?
第2章 米中の制裁関税で大きく落ち込む貿易
第3章 複雑化した政策対応
第4章 米中ハイテク戦争
第5章 リブラvs.デジタル人民元
第6章 アメリカでは危機感拡大、日本は危機感欠如

第Ⅱ部 長い停滞から脱し、世界の工場からIT先進国へ
第7章 なぜ中国は長期停滞に陥ったか?
第8章 長期停滞から脱して世界の工場へ
第9章 アリババの大躍進

第Ⅲ部 未来への驀進に危険はないか?
第10章 信用スコアリングの光と陰
第11章 中国スタートアップ企業の目覚ましい躍進
第12章 中国の未来
終  章 コロナウイルスに見る中国国家体制の強さと弱さ

著者プロフィール

野口 悠紀雄  【著】
のぐち ゆきお

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主要著書『情報の経済理論』(東洋経済新報社、1974年、日経・経済図書文化賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞出版社、1992年、吉野作造賞)、『1940年体制(増補版)』(東洋経済新報社、2010年)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞出版社、2017年、大川出版賞)、『だから古典は面白い』(幻冬舎新書、2020年)