基本統計学(第3版)

豊田 利久著/大谷 一博著/小川 一夫著/長谷川 光著/谷崎 久志著
2010年9月29日 発売
定価 3,080円(税込)
ISBN:9784492470831 / サイズ:サイズ:A5判/ページ数:272


1991年の刊行以来、20年以上にわたるロングセラー教科書の全面改訂版。



初めて統計学を学ぶ文科系の大学生や統計学の自習をめざす一般社会人を対象とした入門教科書。経済や政治などの社会現象のマクロ情報をできるだけ客観的に把握するための統計学的な考え方を、高度な数学的予備知識なしで、身につけ、理解することができる。



最新版では「公式ウェブサイト」を開設(上記緑色の部分をクリック)。「主な計算方法の解説」「各種データファイル」「練習問題解答集」がダウンロードできる。



●はしがき




 本書は,初めて統計学を体系的に学ぼうとする文科系の大学生や大学院生,統計学の自習を目指す一般社会人を対象に,平易でコンパクトに書かれた入門的教科書であることを目的としている。同時に,版を重ねる度に回帰分析の内容を充実させ,初歩的な時系列分析も含めてきたので,計量経済学の入門書という性格も持ち合わせている。


 執筆者たちの長年にわたる文科系学生を対象にした統計学の教育経験から感じることは,多くの学生諸君が統計学を数学の一分野としか考えておらず,「数学が嫌いだから統計学も嫌いだ」と決めつけていることである。しかし,統計学と数学とは本来は別物であるということに気づくと,ほとんどの学生が統計学に関心を示すようになる。本来の統計学は,経済や政治などの社会現象のマクロ的な情報をできるだけ客観的に把握するために生まれた学問である。統計学的な考え方を理解するためには,高度な数学の予備知識は不要である。本書は,統計学的な考え方が身につくように,統計数理の展開よりも,考え方や意味づけの叙述に力点を置いて書かれている。数学を気にせずに,安心して本書で統計学を学習してほしい。



 世は情報化社会といわれ,あらゆる分野における数量的データをはじめとする情報があふれている。ますますこの傾向は強まるばかりであり,私たちはこの情報の中に埋没するのではなく,それを有効に分析・処理して,有益な行動指針を見出さなければならない。統計学は,まさにそのための枠組みと手続きを提供する学問なのである。パソコンの発達によって数量的データの処理は簡単にできるようになった。しかし,パソコンを真に有効に使いきるためには,パソコンに搭載されている統計ソフトが前提としている統計学の考え方や手続きを理解することは不可欠であろう。



 今日では,統計学は経済学や経営学をはじめ,政治学,社会学,心理学,教育学などほとんどあらゆる学問分野において重要な分析道具となっており,これなしには専門的な学習や研究はできないといってもよい。特に,経済学や経営学においては,貨幣という価値単位があるためもあり,多くの数量的データを利用することができる。このことを配慮して書かれた本書の最大の特徴は,経済や経営を中心とするわれわれの身近にある具体的な現象を題材にして,統計学のエッセンスを解説していることである。各章末に掲げられている練習問題も,ほとんどすべて経済や経営の具体的な事例に基づくものばかりである。このようにして,統計学を身近な学問として親しんでもらいたいというのが執筆者たちの念願である。


 『基本統計学(初版)』の出版以来20年近くが経過した。その間,社会科学・文科系の学生や社会人が本格的に統計学を学ぶために必要なミニマムは何かを再考して,

  ●回帰分析の内容を充実させた

  ●時系列分析の最近の展開を少しとり入れた

  ●各章の練習問題を大幅に増やした

などの改訂を行い,テキストとして使用される便宜を向上させた。その他の章も必要な限り改訂をした。また,今回の本書の出版にあたっては,ページ数を抑えるために,本文から練習問題の解答を外して,代わりにウェブサイトに付録として載せることにした。さらに,パソコンで気軽に本書の結果を再現できるようにするため,本書で用いたデータやExcelによる回帰分析の方法をウェブサイト上に掲載することにした。



 過去20年の間,『基本統計学』を使用され,コメントを下さった全国の多くの方々に感謝したい。すべてのお名前を挙げることはできないが,特に羽森茂之,福重元嗣,難波明生,松林洋一の各氏からは多くのコメントをいただいた。本書に残されているかも知れない誤りや説明の不備な点は,読者や,本書を教科書として採用してくださる先生方からご指摘いただき,改善を他日に期したい。さらに,『基本統計学(第2版)』の改訂から,日本語版LaTeX2e(pLaTeX2e)を用いて組版した。井本伸氏(当時,神戸大学大学院経済学研究科博士後期課程)が多くの章のタイプをしてくださったことに感謝したい。



 最後に,『基本統計学(初版)』では東洋経済新報社の須永政男氏の終始熱心なご支援をいただき,『基本統計学(第2版)』では同社の佐藤敬氏から草稿に対して細部にわって多くのコメントをいただいた。今回の改訂にあたっても,佐藤氏からさまざまなご助言やコメントをいただいた。心から感謝の気持ちを表したい。




  2010年9月

執筆者を代表して 豊田利久・谷崎久志 

Excel解説、データ・ファイル、解答例

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概要

20年にわたって日本の各大学で使われているロングセラーテキストの改訂版。統計学の初・中級の内容をわかりやすく解説。練習問題はウェブサイトからダウンロードできる。

目次

第1章 度数分布
    変数/度数分布/度数分布のグラフ
第2章 代表値
    いろいろな平均値/範囲と四分位範囲
    /標準偏差と分散/標準化変量/変動係数
    /相関係数
第3章 確率
    基礎概念/標本空間/確率
第4章 確率変数と確率分布
    確率変数/期待値/同時確率分布
第5章 正規分布と正規分布表
    正規分布の特性/正規分布表の使い方
第6章 標本分布
    無作為抽出/標本平均の分布/中心極限定理
    /正規母集団からの標本分布
第7章 推定
    推定と推定量/推定量の性質/区間推定
第8章 仮説検定
    仮説検定の考え方
    /正規母集団の平均の検定:母分散が既知の場合
    /2種類の過誤/正規母集団の平均の検定:母分散が未知の場合
    /平均値の差の検定/等分散の検定
    /比率の検定
第9章 回帰分析
    回帰関係の意味/回帰モデルの諸仮定
    /最小2乗法/最小2乗推定量の分布と性質
    /決定係数/数値例
第10章 回帰分析:重回帰と諸問題
    重回帰/推定量の性質
    /自由度修正済み決定係数/多重共線性
    /ダミー変数/系列相関と不均一分散
第11章 時系列分析
    季節変動とその特定化/トレンドとその特定化
    /循環変動とその特定化/時系列分析と定常性
    /時系列モデルの特定化

著者プロフィール

豊田利久
とよだ・としひさ

1940年生まれ.神戸大学経済学部卒,カーネギー・メロン大学Ph.D.神戸大学名誉教授.現在,広島修道大学経済科学部教授.

大谷一博
おおたに・かずひろ

1950年生まれ.神戸商科大学商経学部卒.神戸商科大学経済学博士.現在,神戸大学大学院経済学研究科教授.

小川一夫
おがわ・かずお

1954年生まれ.神戸大学経済学部卒.ペンシルバニア大学Ph.D.現在,大阪大学社会経済研究所教授.

長谷川光
はせがわ・ひかる

1956年生まれ.上智大学経済学部卒.神戸大学博士(経済学).現在,北海道大学大学院経済学研究科教授.

谷崎久志
たにざき・ひさし

1962年生まれ.関西学院大学経済学部卒.ペンシルバニア大学Ph.D.現在,神戸大学大学院経済学研究科教授.