選ばれるそのわけは?
早川徳次が創業した老舗家電メーカーにもかかわらず、SHARPは「ニ流半の存在感の薄い家電メーカー」と揶揄され続けた。それはブランドがうまく確立できなかったことにある。
そのことに危機感を感じていた町田社長(現会長)が2000年に「IC事業を縮小し、液晶事業に経営資源を集中させる」という驚くべき経営方針を発表した。40年前に液晶を開発したシャープには、これからの社会には液晶が不可欠になるという強い読みがあったのだ。
町田社長の「液晶で世界を制す」「8年でトップブランドを確立」という号令を受け、ブランド確立に大車輪の活躍をしたのが、本書の著者・北田秀人氏だ。
宣伝は液晶テレビ1本に絞っていく。吉永小百合のTVCM「20世紀においてゆくもの。21世紀に持ってゆくもの」、東京駅中央コンコースの柱すべてにアクオス広告等々テレビ、雑誌・新聞、交通広告へ大胆なまでに展開していく。
集中したブランド戦略の結果「世界の亀山モデル」としてアクオスはトップブランドに登りつめた。本書では元ブランド戦略本部長であった著者が、知られざるシャープのブランド戦略を余すところなく語る。ブランドに携わる読者だけでなく、多くのビジネスマン、経営者を魅了する書である。
第1章 オンリーワン経営とは何か 第2章 企業ブランドを高める宣伝戦略 第3章 メディアの常識を破る宣伝展開 第4章 和の力を結集するための社内改革 第5章 これからの時代を読み解く新しい発想 第6章 未来のオンリーワン・ブランドを求めて 第7章 オンリーワン社員のつくられ方
北田秀人
きただ・ひでと
1943年生まれ。1963年、早川電機工業株式会社(現 シャープ株式会社)入社。1990年4月、宣伝部参事。1992年4月、電子機器事業本部液晶映像システム部商品企画部参事。1993年4月、冷蔵システム事業部商品企画部部長。1995年10月、広報部参事。1999年4月、宣伝部部長。2004年4月、ブランド戦略推進センター所長兼宣伝部長。2006年2月、ブランド戦略推進本部長兼宣伝部長。2006年10月、ブランド戦略推進本部長。2008年4月、ブランド戦略推進本部参与。2009年4月、シャープ株式会社退職。
現在 北田ブランド広告研究所代表