イタリア最強のラグジュアリーブランドは、なぜ3度もの危機を乗り越えられたのか!?
花の都フィレンツェへの地元密着経営、世界中を魅了するアルチザンの技、
常に新鮮な“変わり続ける老舗”の本質をとらえる。
ジャッキー、バンブー、ホースビット、フローラ……
一目でグッチとわかるアイコンの数々が生まれた理由、そして、それをさらに進化させ続けてきたブランドマネジメントとブランドイノベーションに迫るグッチ分析の決定版!
――日本企業、特にものづくり企業はグッチに学ぶべきである。
そう言うと、「とても無理。我が社がグッチのようなラグジュアリーブランドになれる訳がない。そもそも日本企業には無理」と、賛同するどころか、強く否定される。
しかし、まだ百年と経っていない1921年に、人口36万人ほどの地方中核都市フィレンツェで創業したイタリアの地場産業かつ一族経営の企業が世界的なラグジュアリーブランドになったという「結果」を見て「日本企業には無理」と考えるのではなく、グッチが「何をやって」ラグジュアリーブランドになったかを学ぶべきではないだろうか。
以下の点は日本企業の参考になるだろう。
・戦争による創業直後の原材料不足、一族による骨肉の争い、救世主だった経営者とスターデザイナーの辞任という3度もの危機を乗り越え飛躍したこと
・地元・花の都フィレンツェへの密着経営
・世界中を魅了するアルチザン(職人)の技の重視
・常に新鮮な〝変わり続ける老舗〟であること
特に、コスト削減のため、アジアの国々に生産拠点を移して、労働力だけでなく職人技やノウハウまでが空洞化し、高品質の代名詞「メード・イン・ジャパン」を失いつつある日本のものづくり企業には、グッチの戦略は耳が痛いアンチテーゼになっている。
(「おわりに」より)