未来の社会を創造するビジネスを生み出す!
「失われた10年」以降の日本企業は、グローバル経済の進展、新興国の成長の前で立ちすくみ、電機、ITをはじめとするかつての稼ぎ頭企業群は次第に色あせ、日本のプレゼンスは低下してしまっているかにも見える。しかし元来の日本企業には暗黙知を育み、共通善に基づく職人道を追求し、現場発の現場による現場のためのイノベーションを起こす伝統があった。今こそ、暗黙知をベースにして創造される高質な知を単にモノづくりに終わらせることなく、新たなやり方で価値に変える経営モデルに衣替えをしなければならない。
本書ではそれを「ビジネスモデル・イノベーション」(BMI)と称し、各分野の第一人者が、企業やNPO、政府などの先進事例を交えながら、多角的に紹介するものである。
序 章 賢慮の戦略論への転換 第1章 事業創生モデルの提言 第2章 ビジネスモデル・イノベーション競争 第3章 日産のグローバル・ビジネスモデル・イノベーション 第4章 政府レベルのビジネスモデル・イノベーション 第5章 社会インフラ事業モデルの構造と戦略展開 第6章 ビジネスモデルとデザイン思考 第7章 ビジネスモデル・イノベーションを阻む「しがらみ」からの脱却 第8章 事業創生モデルを推進するイノベーターシップ 第9章 賢慮のビジネスモデル・イノベーションへ向けて
野中郁次郎
のなか・いくじろう
一橋大学名誉教授。1935年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カリフォルニア大学(バークレー校)経営大学院にてPh.D.取得。南山大学経営学部、防衛大学校、北陸先端大学院大学各教授を歴任。クレアモント大学ドラッカースクール名誉スカラー、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院ゼロックス知識学ファカルティフェロー、早稲田大学特命教授、富士通総研経済研究所理事長。
知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威で、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙で「世界で最も影響力のあるビジネス思想家トップ20」に選ばれる。
著書に『組織と市場』(千倉書房)、『失敗の本質』(共著、ダイヤモンド社)、『知識創造経営のプリンシプル』『知識創造の方法論』『流れを経営する』(共著、東洋経済新報社)、『知識創造の経営』(日本経済新聞社)、『戦略の本質』『日米企業の経営比較』(共著、ともに日本経済新聞社)、『美徳の経営』(共著、NTT出版)、The Knowledge-Creating Company(共著、邦題『知識創造企業』)、Enabling Knowledge Creation(共著、邦題『ナレッジ・イネーブリング』)(ともにOxford University Press、日本語版は東洋経済新報社)などがある。
徳岡晃一郎
とくおか・こういちろう
フライシュマン・ヒラード・ジャパンSVP・パートナー。1957年東京都生まれ。1980年東京大学教養学部卒業、日産自動車入社。同社人事部、欧州日産などを経て、1999年より現職。1986年オックスフォード大学にて経営学修士。レピュテーション・マネジメント、人事および社内コミュニケーションなどに関するコンサルティングに従事。多摩大学大学院教授、同大学知識リーダーシップ研究所所長を兼務。
著書に、『MBB:想いのマネジメント』『シャドーワーク』『世界の知で創る』(いずれも共著、東洋経済新報社)、『人事異動』(新潮社)、『"本気"の集団をつくるチーム・コーチングの技術』『ミドルの対話型勉強法』(ともにダイヤモンド社)などがある。