編集者コメント
大学にまつわる問題が噴出している。質の低下、定員割れ、組織崩壊、倒産――、枚挙にいとまがない。
なぜ、大学のマネジメントがうまくいかないのか。頭痛の種が尽きないのか。
本書は大学を真の意味で再生させる「秘策」である。そもそも、リーダーシップとは、大学の世界とは無縁の存在だった。しかし、今ほどに大学人にとってリーダーシップが必要とされる時代はない。本書では大学を変革していくための技法が効果的な事例と共に論じられ、いかにして組織の構成員から力を引き出し、成果に結びつけるかが明瞭な筆致で語られる。
幸いなことに、リーダーシップは「普通の人」が学習して身につけることができる。何ら難しいものではない。それは組織の一番よいところを引き出す「プロセス」であって、誰もが日常的に実践できる行動パターンである。
アメリカの最新ケースを効果的に用いており、読んでも楽しい構成となっている。大学教員、職員等の関係者のみならず、教育問題全般に関心を持つ人々にとって待望の書である。
第1章 リーダーシップは人間関係 第2章 模範を示す 第3章 ビジョンを分かち合う 第4章 それまでのやり方を変える 第5章 人が動きやすいようにする 第6章 やる気を高める 第7章 リーダーシップとは万人のもの
ジェームズ・M・クーゼス
James M.Kouzes
バリー・Z・ポズナー
Barry Z. Posner
二人は過去30年間、高等教育の経営に携わってきた。
クーゼスは、サンノゼ州立大学のヒューマン・サービス・ディベロップメント共同センターの創設者であり、サンタクララ大学のエグゼクティブ・ディベロップメント・センターの所長を務め、現在は同大学のリービー・ビジネススクールの革新・起業センターのエグゼクティブ・フェローである。
ポズナーはサンタクララ大学の大学院プログラムの副学部長、エグゼクティブ・エデュケーションのマネジング・パートナーをはじめ、大学における指導者的地位を歴任し、現在はリービー・ビジネススクールの学部長であると同時に、教授としてリーダーシップ論を教える。
これまで両氏は優れたリーダーシップ教育者に贈られるウィルバー・M・マクフィーリー賞を2001年に受賞し、米国内外の大学機関で優れたリーダーシップ教育プログラムを行っている。
著書にThe Leadership Challenge(『ビジネス・ウィーク』誌ベストセラー)のほか、邦訳されたものに『信頼のリーダーシップ――こうすれば人が動く「6つの模範」』(生産性出版、1995年)、『ほめ上手のリーダーになれ!――部下の心をつかむ7つの原則』(翔泳社、2001年)があり、いずれも20万件以上のアンケート調査、4200件以上の事例研究、150件以上の綿密な聞き取り調査にもとづくものとして国際的に高い信頼と評価を得ている。
高木直二 訳者
たかぎ なおじ
翻訳家。元早稲田大学理事、現早稲田大学社会連携研究所客員研究員。
訳書に、『去年を待ちながら』(共訳、東京創元社)、『裁くのは誰か?』(東京創元社)がある。
早稲田大学在職中、教育分野の産学連携コンソーシアム「デジタルキャンパスコンソーシアム」を設立し、各種プロジェクトを運営。その経験をもとに『大学は「プロジェクト」でこんなに変わる』(東洋経済新報社、2008年)を発表。