真の競争は「モノづくり」の前に始まっている!
製品や知財の競争力で勝っても、ルール変更で市場から排除される日本企業。スポーツの世界でいえば、スキーや柔道やF1などで味わった苦い経験が今、グローバルビジネスの前線で再現されている。
国際的なルールづくりの主導権をとるためにはどうすればよいのだろうか? 電気自動車、携帯電話、ナノテク、国際会計基準、環境問題、キャラクタービジネス、著作権ルールの変更、などのルールをめぐる企業と国家の攻防を制するのは、異質なプレイヤーとの思考方法や世界観の競争である。
日本企業やビジネスマンが世界で戦うために必要なのは、英語や会計知識にも増して、競争相手の思考方法を理解することであり、みずからの世界観を持つことである。政府代表トレードネゴシエーターとして日本の対EUロビイストの草分けであり、かつWTOルール交渉の主席交渉官をつとめ、国際経済戦争の最前線で紛争解決にあたってきた現役の経産官僚が示した、国際経済交渉の力学と日本企業がとるべき新しい戦い方。
第1章 ルールに翻弄される技術力の日本:なぜ世界で主導権をとれないのか 第2章 戦いのルールが変わった:事業の成否を決した知られざる一手 第3章 グローバルルールの孤島と化す日本:中国が日本の先を行くのはなぜか 第4章 未来志向を阻む呪縛:日本的真面目さの副作用 第5章 競争の前提を変える第3の経営戦略:その他大勢から抜け出すルールの活用法 第6章 交渉の実践テクニック:世界市場で勝つためになすべきこと 第7章 ルールメーカーの条件:日本は明日の世界をつくれるか
藤井敏彦
ふじい・としひこ
1964年大阪府生まれ。1987年東京大学経済学部卒業、通商産業省(現・経済産業省)入省。1994年ワシントン大学にてMBA取得。2000年在欧日系ビジネス協議会(於ブラッセル)事務局長、対EUロビイストとして活動。2004年経済産業省に復帰、通商機構部総括参事官(WTO全般に加え、TPP、レアアース問題などを担当)などを経て、現在、資源エネルギー庁エネルギー交渉官。経済産業研究所コンサルティングフェロー、埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授を兼務。
日本の対EUロビイストの草分けであるとともにWTOルール交渉の主席交渉官を務めるなど、世界的ルールメイクに通暁している。
主な著書に『ヨーロッパのCSRと日本のCSR』(日科技連出版社)、『EUのガバナンスと政策形成』(共著、慶應義塾大学出版会)などがある。